“みんな”と仲良くなろうとしなくて大丈夫
――ときにケンカをするのも一つの経験なんですね。もし、なかなか仲良くなれない相手がいたら、どうすればいいのでしょうか?
大人は子どもに、「みんなと仲良くしてね」「人にやさしくしようね」と言いがちです。でも、大人だって気の合わない人はいるもので、そういう相手とは距離をとり、当たりさわりなくつき合っているはずです。
しかし、子どもには、合わない人をうまくかわすスキルがまだありません。だから、正面からぶつかってしまいます。するとまた、「仲良くね」「やさしくね」と言われてしまう。大人にもできないことを、子どもに望むのはかわいそうです。
ボクはよく「仲良くなくていいから、仲悪くなるな」と子どもたちに言います。
誰とでも仲良くするのは難しいし、苦手な人がいるのも当たり前。気が合わない相手とは無理に仲良くなろうとせず、いい距離感を見つけることが大切です。
どうすれば「イライラコップ」をあふれさせずにすむ?
――合わない相手とうまく距離が取れないうちは、もめることもありそうです。衝突を避けるためにできることはありますか?
まずは「自分の気持ち」を大切にしてほしいと思います。自分の気持ちが安定していなければ、人と仲良くすることも、人にやさしくすることもできません。残業でいつもより遅く帰ってきて慌てて夕食の支度をしているとき、もし子どもが飲み物をこぼそうものなら、キーっとなってしまいませんか。気持ちが落ち着いていないからです。
怒りっぽい人って、相手に求めすぎなんです。「こうしてくれるだろう」と期待して、その通りにならないから怒る。親も同じで、よその子なら微笑ましく思えることも、我が子にはやたら怒ってしまうのは、自分の子どもに期待しているからです。相手に期待しすぎるあまり、相手の気持ちを大切にできなくなってしまいます。
ボクはよく子どもたちに「イライラコップ」の話をします。
友だちとケンカしたり、先生に怒られたりして心がモヤモヤするときは、自分の中にある「イライラの気持ちがたまったコップ」を思い浮かべます。コップがあふれてしまうと、友だちにやつあたりしてしまうかもしれないから、あふれる前にたまったイライラを外に出すなど手立てが必要です。
どうすればイライラコップをあふれさせずにすむか、その解決策を親子で一緒に考えてみるのもいいかもしれませんね。