「考え方」×「熱意」×「能力」

かつて俳優だったゼレンスキーが、ウクライナ国内で有名になったのは、2015年から2019年に放送されたコメディドラマ『国民のしもべ』に出演したのがきっかけだった。同作でゼレンスキー演じる高校教師は、政治腐敗を非難する動画が話題となって、トントン拍子に大統領に。

事実は小説よりも奇なりとはよく言ったもので、その後、政党を結成したゼレンスキーが本当に大統領に就任し、自国民と国際社会を味方につけて、今もロシアに対抗し続けている事実には、ただただ驚かされる。

はたして彼は、今後も大統領としての役割を果たし続けられるのだろうか。この問いに対する答えとして、書籍『ゼレンスキー勇気の言葉100』の「おわりに」の中で、以下の方程式が紹介されている。

「考え方」×「熱意」×「能力」=「人生・仕事の結果」

この式は足し算ではなく掛け算なので、「考え方」「熱意」「能力」のどれかひとつでも欠けてしまうと、「人生・仕事の結果」の数値はゼロになってしまうのだが、ゼレンスキーの場合はどうだろう。

誰とでも分け隔てなく会話をする、気さくで謙虚な大統領の姿=「考え方」は、前述のドラマの中でも描かれているが、これは現実でも変わらない。

逆境にめげず、大国ロシアを相手に真っ向から立ち向かっていく「熱意」は、世界中が目撃しているとおりだ。

そして3つめの「能力」だが、特筆すべきはゼレンスキーの伝える力だろう。自身のTwitterやInstagramといったSNSを駆使し、相手によって文言を変えて、的確にメッセージを伝える――。

さに国際社会を動かしていくにふさわしいリーダーと言えるのではないか。


写真/AFLO

現代の名言製造機。ゼレンスキーの演説に学ぶ、人を動かす「言葉の力」_a
<書籍情報>
『ゼレンスキー勇気の言葉100』
ワニブックス・刊
清水克彦・著
1,430円 税込