ラジオでしゃべってきたからこそ、できた「引き出し」
――(この取材日直前に配信が開始された)Netflix『トークサバイバー』、面白く見させていただきました。
あそこで話したことって、CBCラジオでやっている『#むかいの喋り方』で結構語ってたことなんですよ。リスナーにとっては、「あ、この話知ってる」っていうこともいっぱい出てきたので、喜んでくれるんじゃないかなと思いました。
ラジオをやってなかったら自分の引き出しに入ってなかったような話も多かったので……ラジオをやってたからこそ、あそこで戦えたんだなって思ってます。
――向井さんは、2018年にラジオ『#むかいの喋り方』を始めてからの現在に至るまで、ご自身に変化はありますか?
実はラジオに関しては、レギュラーでやる前にも、お試しでやらせてもらったりもしてたんです。でも、ラジオリスナーとしての視点もあったんで、その頃の自分が出演したラジオに対して、「なんか違うな」って違和感を感じる部分があって。だから、「ラジオは聴く方でいいや」って思ってたんです。
そんなタイミングのときに、地元・名古屋のラジオ局から30分とか40分の番組はどうですかってお話をいただいたんです。radikoのエリアフリーで誰もが全国で聴けるとはいえ、まあ地元以外ではそんなに聴かれないだろうっていう気持ちもあって、それがよかったんですね。
あとやっぱり、新幹線に乗って東京から一時間ほど離れるので、東京とは違った気持ちで話せることとかもあって、思ってることが全部しゃべれたんですよ。はじめてラジオやって、楽しいって思えました。
――『#むかいの喋り方』では、どういうことを話してほしいとか、事前にリクエストはあったんですか?
まったくなかったです。僕、ずっと手帳にその日の反省とかを書いてるんですけど、それについてしゃべってもいいですかってところから始まりました。それまでは手帳に書いてるということすらも誰かにしゃべったこともなくて、地元の名古屋だから、そういうのも出してもいいかなって思えたんです。
――最初の反響はいかがでしたか?
やっぱり最初は名古屋の人からの反響が多かったんですけど、徐々にradikoのエリアフリーのおかげで、「お、この人の名前知ってる」っていうラジオ好きのはがき職人とか、有名なラジオリスナーの人からネタのメールが届いたりするようになりました。そういうことが積み重なって、だんだんと反響が広がっているんだなってことを実感しました。
――ラジオを始めて積み重ねてきたことが、他の場面で生かされた感じはありますか?
テレビの『あちこちオードリー』(テレビ東京)とかでも、(ラジオや反省ノートのことを)発表させてもらう場所になったというか。もともと僕が、オードリーさんの『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)を長年聞いていて、出演のオファーもいただいてたんですけど、「好きすぎて出たくない」って言ってたんです。でも何度もオファーをもらったので、パンサーの3人で出て、その流れで『あちこちオードリー』にも呼んでいただいたんです。
そのときは、佐藤栞里ちゃんとパンサーの組み合わせだったんですけど、栞里ちゃんも反省ノートをつけてたんで、「俺もつけてるんです」っていう流れになって。
――『あちこちオードリー』は、アンケートや打ち合わせがないということですが、やっぱり事前に反省ノートのことを話してほしいという打ち合わせがあったわけではないんですか?
いえ、流れでその話になったんです。そしたら若林さんが、(自分も番組収録の帰り道で振り返って反省するとか)大きなくくりで自分と向井は「似てるよね」って言って受け止めてくれて。
それが『あちこちオードリー』のオンラインライブに繋がったりしたんです。
――反省ノートもそうですが、自分の弱さとか内面とかをさらけ出せたのがよかったのかなって思ったりすることはありますか?
人から見られた自分と、僕自身が考えていることに差があるなってずっと思っていたんです。僕は見た目的にすごい社交的にみられるし、人当たり良さそうにも見られるんですけど、全然そんなことないのになあと思いながら。
でも、みんながそう見てくれてたんだったら、そうしなきゃいけないなーって感じだったんですよね。
で、いつからか、「なんかもういいや」って、思うがままにしゃべってたら、劣等感や自己肯定感が低めな部分が出るようになってしまって。ただ、そういう弱い自分を出したいというわけでもないので、自分の出し方は考えなきゃいけないな、って最近は思っています。
――さらけ出すことが気持ちよくなってしまうと、それもよくないと?
弱さを武器にするとせこい瞬間が出てくるというか、弱いことで強くなってしまうことがあるなって。そんな風には弱さを使いたくないなっていうのがあります。