私は怒りを抑えられなかった。13歳の子に、なぜそんな覚悟を
ロシアの学校で「ウクライナに戻ればナチスに殺される」と聞かされた子がいる。2024年、クレバ氏は仏紙ルモンドにそう語っている。実際に帰ってきた子どもたちはどう過ごしているのか。
キーウでそう尋ねると、クレバ氏が話してくれたのは買い物のことだった。
占領地ではどこにでもロシア兵がいて、帰還したばかりの子どもたちは外を出歩くのを怖がったという。それでも翌日には店に行きたがる子が多いという。
ここでは行きたいところへ歩いていけるし、出会う人たちも親切にしてくれる。そんな子どもたちに、クレバ氏は冗談で尋ねる。
「ナチスには何人会った?」
子どもたちは笑って「一人も」と答える。
「受け入れて、大事にして、心を開いて接する。子どもたちが何より強く感じるのは、自由になったということなんです」
母親に捨てられたと言われても、13歳の少年は母親を信じた。地雷原を越えてでも帰ろうとした。その話を聞いて、私は怒りを抑えられなかった。
13歳の子に、なぜそんな覚悟をさせるのか。親から引き離し、故郷を憎むよう教え、成長すれば故郷に銃を向けさせる。ロシアが奪おうとしているのは、子どもが自分で選ぶはずだった人生だ。
文/小倉健一













