ロシア側の施設に入れられた13歳のウクライナの少年
「君のお母さんは、もう君を必要としていないんだよ」
ロシア側の施設に入れられた13歳のウクライナの少年は、職員からそう告げられた。母親には会わせてもらえない。それでも少年は職員の言葉を信じなかった。施設でできた友達と、毎晩逃げる相談をしていたという。
11月2日、キーウで民間団体Save Ukraineの代表、ミコラ・クレバ氏に会った。ロシアや占領地域に連れ去られた子どもを救い出し、帰還後の生活も支えている。
クレバ氏は2021年まで、ウクライナ大統領の子どもの権利担当全権代表を務めた。この連れ去り問題について、クレバ氏から聞いた。
わが子の行き先さえ知らされなかった親、国境を越えた親
2022年2月、ロシアはウクライナへの全面侵攻を始めた。ロシア軍が町や村を占領すると、住民は逃げることさえ難しくなった。ロシア側は「危険な地域からの避難」などを理由に子どもを移送し、ロシア国内や占領地域の施設、ロシア人の家庭に預けた。
児童養護施設からまとめて連れて行かれた子もいれば、保養キャンプから約束の日になっても帰してもらえなかった子もいる。わが子の行き先さえ知らされなかった親も、戦時下の国境をいくつも越えて迎えに行った親もいた。
親を戦闘で殺された子、親が拘束された子、親が生きているのに引き離された子。事情はさまざまだ。避難と言うなら、まず親に子どもの行き先を知らせるはずだ。ところが、どこへ連れていったのかを知っているロシア当局が、その情報を家族に渡さなかった。
国連の独立国際調査委員会は今年3月、ロシア当局による子どもの国外移送や占領地域内での強制移送、さらに子どもを「強制失踪」させた行為を、人道に対する罪と認定した。
委員会がウクライナの5つの地域からの移送を確認した子どもは1205人。全面侵攻から4年がたった時点で、その8割がまだ帰還していなかった。













