二重にしても消えなかった劣等感
──中3くらいで急に目が二重になるわけですよね。周囲の反応はありましたか。
それがほとんどなくて……。自分でも「あからさまに変わりすぎだろう」と不安になって、隣の男子に打ち明けたんです。その人はクラスでも声の大きいタイプで。私が「実は、私、美容整形をしたんだ」と言うと、彼は突然クラス中に響き渡るような声で「こいつ、整形したらしいよ!」と言いました。続けざまに、「整形してもこれって、オワコンだな」と言い放ったんです。
──どんな気持ちでしたか。
まず、整形すれば、周りがもっと優しくなると思っていたんですよね。でも現実は違っていて、自分はどうやってもかわいくなれないんだなと絶望しました。
その後のクラスの反応も、顔がこわばってしまって見ることさえできませんでした。どっと笑いが起きたような気もしますが、誰が笑っていて、誰が笑っていなかったかをみる余裕さえありませんでした。
──現在、まぶたはどのような状態になっているのでしょうか。
実は2023年に、一重に戻したんです。戻した理由はいくつかありますが、そのひとつが眼瞼下垂になってしまったことです。この病気は、上まぶたが十分に上がらなくなる状態で、程度によってはまぶたが視界を遮り、視野が狭くなることもあります。
眼瞼下垂と診断される前も、まぶたの重みで垂れ下がってきてしまうため、中学・高校時代には、埋没手術を3回ほど行ないました。その整形手術の際、医師から「加藤さんは眉の力を抜くのを頑張ってください」と指摘されました。これは、コンプレックスから「目を大きく見せたい」とするあまり、常に眉が緊張しているからなのだそうです。自分の奥底にあるものが、こんなにも顔つきに影響していたんだなと驚きました。
── 一重に戻した理由は、ほかにもあったのでしょうか。
大学3年生のときに留学でアメリカに行った経験も大きかったと思います。ルームメイトから「かわいい」「きれい」と言ってもらえたんですよね。留学先で出会った人たちによって、「自分は自分のままでよかったのかも」と思えたことは大きいかもしれません。
──現在、SNSやYouTubeを中心に、「整形して人生を変える」ことをオープンに発信する人も珍しくありません。二重だった自分に、未練はありませんか。
「あのとき一重に戻さずに、逆にもっと目を切開していたら、どうだったのかなぁ」と考えることはありますよ。「きれいになりたい」という気持ちが消えたわけではないし、今後も、そうした気持ちとの葛藤があるんだろうなとは予想します。
ただ、二重に整形したことによって、中学生だったころよりも、「一重のアンニュイさ」が好きにはなれました。一重がもつ儚さとか強さとか、そうしたものを愛せるようにはなったかもしれません。
後編に続く
取材・文/黒島暁生













