恥知らずなやり方で成果を上げるチームのつくりかた
私たちユダヤ系は、場違いに思える場所でも進む力、しなくてはならないことをする力
のことを「フツパ(chutzpah)」と言う。イディッシュ語で、度胸、豪胆、図太いといった意味だ。ユダヤ人は永遠のアウトサイダーとして、つねにフツパで生き延びてきた。おまえはここにいてもいい存在じゃないと他人が言うのなら、いてもいい存在だという許可は、自分で自分に出すのだ。
図太さ――〈恥知らず〉であること――は、人生とビジネスに必須のサバイバルスキル
だ。巨大で混沌とした競争の激しい世界で生きていくためには、誰だってフツパが要る。
みっともないと感じる気持ちを押し返し、一歩前に出てみないと、自分と他人がどう比較されているのかもわからない。やりたい仕事に向かって手を伸ばしてみないと、手に届く範囲にあるかどうかもわかりっこない。まずは自分から適任者として行動しなければ、適任かどうかはわからない。
リーダーであるあなたが努力を謙遜していたら、部下たちは報われない。成果をそのつど祝うことで功労者をしっかりねぎらい、チームの実績を強調しよう。人間の脳は達成したことよりも逃したものを重く見てしまうバイアスがあるので、功績は意識的に称賛しなくてはならない。フィードバックも、5対1の比率で、ネガティブな内容ではなくポジティブな内容を言おう。
「有害なポジティブさ(toxic positivity)」という言葉を聞いたことがあるかもしれないけれど【訳注 前向きな姿勢を無理に押し付けること】、現実として、それはまれな例だ。上司からのはたらきかけはネガティブになるほうが圧倒的に多い。過度にポジティブになる危険性もあるとしても、その境界線は思っているよりもずっと遠いのだ。ベストを発揮してもらうために、たくさんの励ましが必要だ。
メールやチャット、その他のオンラインコミュニケーションツールもねぎらいの手段になるけれど、一番効果的とは限らない。上層部がリアルに参加する会議こそ、チームの成果を披露する最大のチャンスだ。議題が別のことだったとしても、うまくねじ込む道はある。全体会議はなおよい。質問のついでにちらりと言及してもいいだろう。関心を呼べるし、参加者全員の刺激になるし、会議をあたためる効果もある。
チームや組織のリーダーになることの一番よい点は、他人の手柄を盗む必要がないことだ。チームが成果を出せば、必然的に、リーダーが評価を受ける。だからこそ、チームのベストを引き出すことがリーダーの一番重要な仕事だ。
成果を巧みにアピールしたいなら、チームがプロジェクトでいい数字を出したとき、感謝とねぎらいのメールをチームに一斉送信しよう。「すばらしい仕事のおかげで、売上は前年比22%増!」。このメールのCCに、上司と、上司の上司を入れておく。リーダーである自分のキャリアアップに関係する人を誰でも入れてしまおう。感謝とアピールを同時にすれば、露骨ではないし効果的だ。誰かが「全員に返信」すれば、インパクトのあるメール件名が何度も回ってくれる。
肝心なタイミングではROIを強調しておこう。この労インベストメント力がもたらす見リ ターン返りは大きい。〈自分勝手〉の章で見たように、重要なのは何をしたかではなく、上司が成果を認識するかどうかだ。〈恥知らず〉に報告して、しっかり認識してもらおう。
文/ジェニー・ウッド 訳/上原裕美子 写真/shutterstock













