パンダ不在で入園者2割減、それでも変わらない“パンダ人気”

今年1月に雄のシャオシャオと雌のレイレイの双子のパンダが中国に返還されて以降、2月~8月の上野動物園の入園者数は前年の同時期と比べて2割減少し、およそ153万人となった。上野動物園の金子美香子副園長は入園者数減少の理由についてこう語る。

「パンダ返還の影響も当然あります。加えて今年に関しては天候不順の影響もあるかと思います。今年は本当に降水量が多くて、天候が悪い日が続きました。その影響で6月に臨時休園が2回、9月にも台風の影響で臨時休園をしています。動物園なので天候が悪いとやっぱりお客様は少なくなりますから」

今年1月に返還されたシャオシャオ(写真/(公財)東京動物園協会)
今年1月に返還されたシャオシャオ(写真/(公財)東京動物園協会)
すべての画像を見る

さらにシャオシャオとレイレイの返還期限が事前にわかっていたことから、前年は返還を控えたパンダを見ようとする来園者も多く、それが今回の減少率に影響した要因の一つだという。最後の観覧日だった1月25日には観覧の応募が殺到し、抽選倍率は20倍を超えた。

では、パンダ不在となった上野動物園の様子はどう変わったのか。

「パンダがいなくなってからは、パンダ目当てに平日でも毎日来られている方が多くいらっしゃいましたので、特に平日のお客様が減ったというのは感じています」

上野動物園の金子美香子副園長
上野動物園の金子美香子副園長

また、8月17日からは老朽化を原因に東園旧パンダ舎の解体が始まった。記者が取材で上野動物園に訪れた際には白いパネルで仮囲いされ、解体の様子を見ることはできなかった。

東園旧パンダ舎と言えば、エントランスにある通称「逆立ちパンダ」の石造が親しまれてきたが、もう見ることはできないのだろうか。

「逆立ちしているパンダの造形はパンダ舎ができた当初からありました。引き続きパンダの軌跡を残すということで、逆立ちパンダはどこかに残そうということまでは決まっています。

今、サル山も新たな施設を作るために取り壊したんですが、サル山のてっぺんをレガシーとして残そうと食堂の前にてっぺんを切り取って置いています。象徴的なものを残しておくとお客様も昔見た記憶をたどれるという考えもあるかと思います」

解体作業が始まる前の東園パンダ舎入り口。奥にあるのが逆立ちパンダ(写真/(公財)東京動物園協会)
解体作業が始まる前の東園パンダ舎入り口。奥にあるのが逆立ちパンダ(写真/(公財)東京動物園協会)

園内を歩くとお土産コーナーには今もパンダのぬいぐるみがずらりと並んでおり、多くの来園者が手に取って笑顔で眺めている。以前はシャオシャオやレイレイなど上野動物園で飼育されていた個体をモデルにしたぬいぐるみが販売されていたが、現在はジャイアントパンダそのものをモチーフにした商品として販売されているという。

パンダが人々を引きつける理由について、金子副園長はこう説明する。

「諸説ありますが、パンダは硬い竹を食べるので顔の筋肉が発達します。そのため顔の中心に目や口などが寄ります。それが可愛い、慈しんでしまう感情に作用していると言われています。それから他のクマと違って竹を食べるので探索行動をあまりしません。手の構造も竹を握れるようになっていて、どっしり座って竹を食べる様子が人間っぽいというのもあるのかもしれません」

いまだに上野には、パンダ人気の名残の店が多くある
いまだに上野には、パンダ人気の名残の店が多くある