明らかに動揺する岸田総理
ここまで読んで、インボイス導入はメリットがほとんどなく、導入根拠も乏しいことがお分かりいただけただろう。では、なぜ政府は必要のないインボイスを導入したがるのか?
これについては、すでにインボイスを導入している国の税制度を見ると答えは自ずと見えてくる。
フランス:標準税率20%、旅客輸送・外食サービス 10%、書籍・食料品・スポーツ観戦・映画 5.5%、新聞・雑誌・医薬品 2.1%
スウェーデン:標準税率25%、食料品・宿泊・外食サービス 12%、新聞・書籍 6%
出典:2022年3月17日 参議院 予算委員会の質問中に山添拓議員が例示
上記のように、20%超の標準税率と複数の軽減税率から成る税制度を採用している国の場合、インボイス制度は確かに有効だ。標準税率と軽減税率の差が10%以上と大きいために、納税者の虚偽申告を防止するメリットは大きく、また、3パターン以上もある複雑な税率計算に対応するという意味もある。
だが、日本では標準税率と軽減税率の差が小さく、税率のパターンもわずか2パターンしかない。なのになぜ、インボイス制度を導入しようとしているのだろうか。
勘の良い読者はもうお分かりだろう。つまり、インボイス導入の本当の狙いは、将来的な20%超の消費増税にあるのではないか。この“疑惑”についてはすでに国会で質問されている。
【共産党・山添拓 議員】総理に伺います。現在の日本の消費税のもとでは必要の無いインボイス制度。大きな不都合が生じているわけではない、インボイス制度をわざわざ導入しようとするのは、これは日本にも欧州並みの20%台、そういう消費税を導入することを目指しているのですか。
【自民党・岸田文雄総理】少なくとも消費税について、何か触れる…税率に触れるということは考えてはおりません。今、インボイス導入がそうした税率引き上げを目指しているのではないか、こういったご質問でありましたが、そういった議論とインボイス…税率の議論とインボイス引き上げの議論、これは結びついているものではないと認識をしております。
【共産党・山添拓 議員】それなら、おやめになったら良いと思うんですね。インボイス制度を導入することを。
出典:2022年3月17日 参議院予算委員会画像:筆者のYouTube動画より。将来的な消費増税の可能性を岸田総理に問う山添拓議員
現時点では岸田文雄総理はこの疑いを明確に否定しているが、答弁の際には言い淀み・言い間違いが多く、明らかに動揺した様子。まさに図星を突かれたという反応に見えなくもない。
百歩譲って、日本が欧州のように20%超の消費税を目指すとしても、その大前提は税収がしっかりと国民の社会保障のために有効活用されることだ。しかし、現政権(自民・公明の連立)は16兆円という信じられない規模のコロナ予算を使途不明にしたことが明らかになった上、懐柔された大手メディアが追及責任を放棄しているため、いまだに全容の解明が進まない。
それどころか この衝撃的事実を知らない一般国民も数多くいる。このような惨状のままで大増税を行えば、国民が今以上に搾取され、生活に困窮するのは目に見えている。