仙女の最大の魅力は「バチバチの…」

こうしたリング外の素顔を映し続ける坂上さんだが、仙女最大の魅力を尋ねると、答えは試合そのものに戻ってくる。

「バチバチの試合。説得力のある試合だと思います」

現在の女子プロレス界は、華やかな演出やキャラクター性も大きな魅力だ。だが、仙女にはそれとは違う軸がある。

「もちろん他の団体にもそういう試合はあると思いますけど、仙女は一貫してちゃんとあるんですよね。どの試合にも」

そして、坂上さんは象徴的な言葉を口にした。

「リング上で踊ったりしないじゃないですか(笑)」

試合が始まれば、とにかくぶつかる。投げる。蹴る。受ける。やられたら、やり返す。

「YouTubeでも試合をたまに配信していますが、仙女のプロレスは現場で生で見たほうが圧倒的に伝わると思います。伝わってくる熱量があるんですよね」

一方、『仙女魂』ではそのリングに立つまでを映す。腕立て伏せもできなかった高野玲菜が入門して、プロテストを受けてレスラーとしてデビューするまで。橋本千紘が、トップになっても地味な基礎練習を続け、仲間に言葉をかける姿。

「本当に試合だけじゃわからないんですよ。人柄とか、普段どうしているのかとか。僕は撮っていて、そっちのほうにも目が行くことが多いです」

もちろん、何でも撮れるわけではない。カードを決める会議や、試合前の選手だけの練習など、カメラが入れない場所もある。

「何が撮れるのか、最初は全然見えてなかったですね。何かよくわからないけど、とりあえず一旦始めてみよう、みたいな。やっていく中で、『ここは撮っていいですか?』って聞いて、ダメと言われることもある。だから最初から完成形があったというより、撮りながら少しずつ見えてきた感じです」

現在のチャンネル名は『仙女魂/日本武道館への道』。

「いまのチャンネルのゴールは、日本武道館です。タイトルにもしていますから」

橋本千紘が何年も口にし続けてきた、仙女の「日本武道館」という目標。

ただ、『仙女魂』が映しているのは、そのゴールだけではない。地道に練習を続ける選手たちがいて、その言葉に心を動かされ、同じ夢を口にする新人選手やスタッフがいる。

「地道にコツコツ」。

その積み重ねの先で、どんな景色が見えるのか。坂上さんはその過程を撮り続けていく。

映像ディレクター・坂上祐生さん(写真/本人提供)
映像ディレクター・坂上祐生さん(写真/本人提供)
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取材・文/小谷進平(集英社オンライン編集部)