地方キャバ嬢のLINE営業術
売れる女性のタイプだけではない。みみたんさんが次に驚いたのが、客単価の違いだった。
「郡山には、5000円で飲み放題というプランもあるんです。お客様は出張で来る方が体感で7〜8割くらい。残りが地元の方というイメージでした。地元だと近くで飲食店を経営している方や、小さな商売をしている社長さん、農家の方などもいました」
客単価が変われば、当然、売上を作る方法も変わる。その違いが顕著に表れていたのが「シャンパン」だった。
「地方では『シャンパンを煽ると、お客さんが来にくくなるからやめたほうがいい』と教えられたんです。その代わり、キープボトルを少しずつ飲んでもらって、来店回数を増やす。1回で大きな金額を使ってもらうより、長く細く通ってくださるお客さんをたくさん作りなさい、と」
これも北新地や六本木とは、まったく異なる考え方だった。
「もちろん『お金を使って』と前面に出すわけではありません。でも、例えばシャンパンなんかは、お客さんが『もっとあなたと仲良くなりたい』『好きだよ』という気持ちを表現するものでもある。だから、おねだりすることも必要だとそれまでは教わっていました。そこは大きな違いでしたね」
さらに違ったのが、店側から教えられる「売上の作り方」だった。
「都会では、『何度も行きたくなる店、何度も会いたくなる女の子になりなさい』と教 わりましたが、郡山では『出勤時間を増やして、フリーのお客さんを取りこぼさないように』と言われました。どちらも目的は売上なんです。でも、売上を作るために見ている場所が違うんです」
みみたんさんが郡山で教わったのは、出勤時間を増やし、多くの新規客と接することで売上の母数を増やす方法だった。一方、都会では、一度接客した客に「また会いたい」と思ってもらい、再来店につなげることをより重視する。
では、客単価が低い地方なら、東京より簡単に売れるのかというと、そうではない。
「むしろ指名本数が必要になります。客単価が低いのなら、なおさらたくさんのお客さんを抱えないといけない。地方で本気で大きな売上を作ろうと思ったら、多くのお客様と日常的に連絡を取り続ける必要があります。LINEの返信だけで何時間も使うようなマメさが必要になると思います。
1年に1回来るお客さん、月に1回来るお客さん、週に1回来るお客さん。それぞれに合った距離感でLINEを返しつつ、早く出勤して、急に『今日行くよ』となったお客さんも取りこぼさない。そういうマメさと時間をかけられることが、地方で売上を作るうえでは大事だとわかりました」
みみたんさんが郡山で知ったのは、自分が売れるか売れないかという単純な話ではなく、同じキャバクラでも街によって評価される個性や、売上を作るために求められる能力そのものが変わるということだった。
誰も自分を知らない土地で新しい生活を始め、実際にナンバー入りし、店の看板にも掲載された。その経験があったからこそ、“街によって変わるキャバクラの正解”がより鮮明に見えたという。













