復旧の手を止めているのは、この容赦のない暑さ

それでも、熊本にいる間、暑さから逃げられた時間はほとんどなかった。クルマのエンジンを切るのは自殺行為だ。ずっとエンジンを入れて、クーラーを最強にしておく。

私のような数日いるだけなら、ガソリン代もさして気にならないだろうが、ずっと生活を続けていかなくてはならない被災者にとって、クーラーのつけっぱなしは手痛い出費になってしまうかもしれない。

冷房の利いた車から降りるたび、熱い空気に押し戻された。取材する側でさえ消耗する。その中で、被災者は壊れた自分の家を片付け、足りない水を運び、夜を越している。

揺れが止まっても、災害は終わらない。今回は、断水と避難生活に灼熱が重なった。建物を壊したのは地震である。

人の体力を奪い、復旧の手を止めているのは、この容赦のない暑さである。

文/小倉健一