「理論」と「根性」、経営に必要なのはどちらか
――星野さんは、これまで数々のホテルや旅館を再生し、星野リゾートを国内有数のホテル運営会社へと成長させてきました。星野さんといえば、すごくクールな部分と、スタッフを鼓舞する熱いリーダー、その両方の印象を持つ人も多いと思います。
星野 そうですか。熱くなるのはスキー以外ないぐらいの感じで生活しているので、自分ではあまりそうは思わないですね。
――スタッフやチームの方に熱を伝えるようなこともされているんじゃないかと思うのですが。
星野 いや、あまり意識してないですね。熱を伝えるということは。
――では、例えば「理論」と「根性」なら、どちらが大切だと思いますか。
星野 それはもう、理論です。理論のほうがはるかに大事ですね。もう根性で仕事をする時代ではないかもしれないですね。
――かなりはっきりおっしゃいますね。
星野 私は経営をできるだけサイエンスとして捉えたいんです。もちろん、人が相手ですからすべてが理論どおりにはいきません。でも、世界中で長年研究され、多くの企業で検証されてきた経営理論を使うほうが、成功する可能性は絶対に高い。
むしろ、そうした理論を無視するほうがよほどリスクが高いと思っていますし、「気合い」とか「根性」は持続可能性という点でもあまりあてにならないですよね。
「続けられるのは、根性があるからではない」
――一方で、理論を実践し続けるには、最後は精神力も必要ではないでしょうか。
星野 よくそう言われます。でも、それも少し違うんです。私は薬に例えて説明することがあります。病気になれば薬を飲みますよね。薬は効くことが証明されているから、すぐに効果が出なくても飲み続けられる。経営も同じなんです。
理論に基づいた戦略は、今日始めて明日成果が出るものではありません。3年、5年とかかることもある。それでも続けられるのは、効果が検証された理論だからです。
自分の思いつきだけで作った戦略なら、成果が出ないと「間違っていたのかな」と不安になって、すぐ変えたくなるでしょう。
――つまり、続ける理由は「根性」ではない。
星野 そうです。根性ではなく、「理論が正しい」という前提があるから続けられる。そこは大きな違いですね。














