“見た目の違和感”の裏にあるトップ選手の繊細な感覚

中村の短いソックスも、田中の穴あきソックスも、外から見れば奇妙に映るかもしれない。だが、そこにはトップアスリートならではの切実な事情がある。

90分間、何度もスプリントし、急停止し、方向転換し、相手と接触する。しかもW杯の舞台では、緊張や気候、ピッチ状態、移動疲労も重なる。選手はその中で、自分の体が最も自然に動く状態を探し続けている。ソックスの数センチ、ふくらはぎへのわずかな圧、すね当ての位置。その小さな違和感を消すことが、プレーの安定につながることもある。

ただし、個人の工夫が常に認められるとは限らない。サッカーはチームスポーツであり、同時に厳格な競技規則と大会運営のもとで行われる。本人にとって合理的な装備でも、審判や大会側が不適切と判断すれば修正を求められる。

今回のソックス騒動は、単なる珍プレーやファッション論ではない。選手が自分の体とどう向き合い、パフォーマンスを最大化しようとしているのか。そして、その個人の工夫がルールや安全性とどこで折り合うのか。日本代表の足元に集まった視線は、現代サッカーの細部へのこだわりを映し出している。

次戦のブラジル戦では中村はどちらのソックスを履くのか(写真/JMPA)
次戦のブラジル戦では中村はどちらのソックスを履くのか(写真/JMPA)
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文/集英社オンライン編集部