身体拘束が殺人の引き金になった
今回の殺人事件が起きたのは、青森県八戸市にある、みちのく記念病院。2023年3月12日深夜、入院患者の佐々木人志が、同室の高橋生悦の左まぶたに歯ブラシの柄を何度も突き刺し、死亡させた。佐々木は2024年7月、殺人罪で有罪判決を受けている。
裁判資料によると、高橋は就寝前、女性看護師によって両手をひもでベッドの柵に固定されていた。身体を自由に動かせない状態のまま佐々木に襲われ、逃げることも身を守ることもできなかった。判決によると、佐々木は身体が不自由で抵抗しにくいことを理由に、高橋を狙ったとされる。
佐々木には盗癖があった。ほかの患者らの金品を盗むたびに、女性看護師による身体拘束を受けていた。
告発人らは、こうした拘束のあり方について、治療ではなく患者の管理や懲罰の手段になっていた可能性があるとみている。
裁判資料や取材に応じた同僚の看護師によると、佐々木に対する身体拘束は一時的な措置にとどまらず、断続的に繰り返されていた。さらに事件前日には、女性看護師から「次に盗めば両手を上げて拘束する」と告げられていた。
判決では、拘束を強化したことが犯行の引き金になったと認定された。裁判で佐々木は、殺人の動機についてこんな趣旨の説明をしている。
「抑制の方法が厳しくなったため、入院生活に耐えられなくなった」
「人を殺害すれば警察に逮捕されて直ちに退院できると考えた」
事件後、当時の理事長だった石山隆と、その弟で主治医の石山哲は、死因を「肺炎」とする虚偽の死亡診断書を作成することに関わり、事件を隠そうとしたとして、犯人隠避の罪に問われている。このうち隆については先に審理が行われ、25年11月に懲役1年6カ月(執行猶予3年)の有罪判決が確定している。












