東京朝鮮高校を救った準優勝校主将のコメント
逆のケースもある。1954年、東京朝鮮高校が都立だった時代、同校のサッカー部が東京都予選を制して全国高校選手権大会への出場を決めた。ところが、これに全国高体連の会長が待ったをかけた。
「高体連も選手権も日本の高校生のためにあるのだ」と都高体連理事に叱責が入り、朝鮮高校の加入問題があらたに議論されることになったのである。しかし、会議の席上で意見を求められた準優勝の青山学院高等部の鈴木洋一主将が毅然と言い放った。
「僕たちは決勝で朝鮮高校に0対2で負けた。強いチームにやられて、次こそは勝つ、そのためにもっと努力しようという気持ちになったのです。スポーツの世界で国境があってはいけない。
外国人だからということで朝鮮高校をオミットすることはできない。僕たち青学高は朝鮮高校の加入を要求します。彼らには東京都の代表として全国大会で暴れまわってきて欲しい」
このときの東京朝鮮高校は鈴木の期待に応えるように全国でベスト4に入っている。
この問題、筆者には、街中の外国人が経営する外国料理店などの経営資格要件の厳格化の流れともリンクしているように思えてならない。
これまでは資本金500万円以上であったものが、昨年10月から3000万円以上に引き上げられた。すでに店を営んでいる在留資格者も3年以内に要件を満たす必要がある。
資本金が3000万円以上の企業は、他業種も含めて日本国内では10%にも満たない。ましてや規模の小さな個人の飲食店では、この増資は不可能に近い。
これまで、日本各地で美味なエスニック料理を提供し、学生や若い会社員たちの胃袋を満たしてくれていた外国人が、継続経営をあきらめて店をたたみ始めている。
スポーツや食、それぞれの分野でこれまで日本社会を支え、その繁栄に寄与してくれていた人たちが、排除されている。寒々しい社会に連なる流れになってきていないか。
平尾さんはこう言って締めくくった。
「これはラグビーをやっている選手が、同じ仲間として声を上げるべきではないかと思います。公正取引委員会の判断も見ながら、私も選手会とも連動していきたいと思っています」
取材・文/木村元彦













