和牛とうるいの斬新な組み合わせ

トルシエ 素晴らしい!肉本来のうま味が凝縮されているのですね。「小笹うるい」の調理のポイントは?

コルビ 山形の豊かな自然で育まれた「小笹うるい」は、白い茎が長く、強いぬめりとシャキシャキとした瑞々しい食感、ほのかな甘みが特長です。今回は生の状態のものと、バターで炒めたものを織り混ぜています。和牛ローストと一緒に、口の中で食感とうま味が重なり合います。

トルシエ 和牛とうるいの組み合わせは斬新です。「青森の黒にんにく」は香辛料として使ったんですか?

コルビ そうですね。青森で育った大玉の白いにんにくを、高温・高湿で約1カ月熟成させることで黒くなります。ドライフルーツのような甘みとコク、驚くほど柔らかい食感が特長です。

ともに熟成された「青森の黒にんにく」に「鹿児島の壺造り黒酢」を加えて練り込んで黒のペーストを作りました。深いコクとまろやかさ、柔らかな一体感が生まれ、和牛とうるいの美味しさを格段に高めます。

――トルシエさん、召し上がっての感想をお願いします。

トルシエ (試食して)これは……飛騨牛とうるいが口の中でとろけて絡み合い、優雅なうま味と香りがふわりと広がりますね。ひと口含んだ瞬間、まるで時間が止まるような感覚です。ペーストの深みある酸味が、和牛の脂の甘さをぐっと引き締めて、美味しさをさらに高い次元へ押し上げています。

コルビ うるいは和牛を引き立てながら、皿全体に季節感と奥行きをもたらします。この春の山菜があることで、料理に生命感が宿ります。

トルシエ なるほど。素材ひとつひとつに役割があり、無駄がないですね。

料理を食べるトルシエ氏
料理を食べるトルシエ氏

――続いて、リゾットはいかがですか?

コルビ 「北海道米」は世界的にも珍しい寒冷地で誕生した日本を代表する米で、抜群のうま味、甘みと粘りが特長です。炊き立てのご飯に、鶏肉のブイヨンを加え、うま味と甘みのアクセントを高めるために「サヌキ白みそ」、生クリーム、パルメザンチーズを付け足してリゾット風に仕立てました。

トルシエ お米と白みそのリゾットとは、面白い組み合わせですね。

コルビ 「サヌキ白みそ」は、米・大豆・塩を原料に短期間で熟成させたもので、なめらかで透き通るような輝きを放っています。上品な甘みと滑らかな舌触りがあり、白みそがお米本来の美味しさを際立たせています。塩味と甘みのバランスが絶妙で、深い香りが漂う格別なリゾットとなります。

トルシエ 上に飾られた花穂も、実に瑞々しい。

コルビ 「豊橋花穂」は鮮やかな彩りと爽やかな香りが特長で、食材のうま味を引き立てます。リゾットの白色に花穂の鮮やかさが美しく映え、一皿に上品な立体感を与えます。日本のおもてなしの精神と洗練された季節感。このふたつを一輪の花穂で表現できるので、GI食材に底力を感じますね。ぜひ、和牛のソテーと合わせてどうぞ。

調理中のコルビ氏
調理中のコルビ氏