AIはどうか?

棋士の藤井聡太さんは自らを上達させるツールとしてかなり早い段階からAI(人工知能)を積極的に活用してきたそうです。AIを使うことによってこれまでの人間が考えてきた定跡(最善とされる決まった手順での指し方)とは異なる、明らかに勝率の高い次の一手を繰り出すことができる。そう考えると、「自力が正しい」という発想に固執していると、藤井さんの足元に及ぶこともできない、ということになります。

ちょっと話は変わりますが、みなさんの受験勉強を思い出してみてもらうといいかもしれません。志望大学の赤本の問題をいきなり解いてもさっぱり何が何やらわからない。そういうときはとっとと後ろにある答えを見るか、解説を教わるほうが早いのです。問題と答えを照らし合わせてどうしてそうなるのかを知り、この場合はこんなふうに応用できるよね、と理解し知識を広げたほうが、「わからない」と止まっているよりも解く力も解き方を編み出すセンスも磨くことができます。

最近の話題でいうと、私は学生に課題でAIを使うのを推奨しています。学生に「文系っぽい課題のときには、AIに答えさせて文章を作って上手に活用したほうがセンスが伸びるよ」と話しているのです。

代表的なAIアプリ
代表的なAIアプリ

デジタルネイティブの人たちには今後それが当然の環境になっていくのだから、AIの不得意分野も理解した上で賢く利用したほうがワザを磨いていけるし、脳のネットワークも広げていけるからです。

ちょっと古い話ですが、1974年のサッカーワールドカップでオランダ代表選手のヨハン・クライフが見せた「クライフターン」というテクニックがありました。写真で見てもさっぱりわからなかったけれど、彼が来日して実際にそのテクニックを目の当たりにしたらみんなできるようになった、という逸話があります。これからサッカーをやろうというときに、プロ選手レベルの動きをする人工知能付きロボットがいれば、そのロボットと最初からサッカーを練習したほうが上達は早いでしょう。