「虐待」のレッテルに怯える母

「数日経ってから児童相談所から電話がかかってきました。どうやら娘があまりにも暴れて手がつけられず、ずっと家に帰りたいと喚き散らしていたようでした。なので、お母さんのところに返してもいいですか? との相談でした。やはり私が産んだ子なので、逃げずに自分で育てないとなと思い直し、また娘との生活が戻ってきました」

しかし、帰ってきてからも娘の性格は変わらない。相変わらず暴力は続いている。

「娘からいくら暴力をふるわれてもずっと耐えています。なぜならちょっとでも手を出せば世間は虐待だと騒ぐからです。児童相談所に相談しても、精神科に入院させてとしか言ってくれません。児相は子どもを病院に入院させたり、たらい回しにして楽に解決しようとしているのではないかと思いました」

娘とずっといると自分の身体と心がもたないと思った佐川さんは、娘に1週間の半分は父親の家に住んでもらうことも考えたが、娘は「ママと一緒にいたい」と申し出を拒否。児童相談所に連絡をして、ショートステイ先を確保してほしいと伝えても、なかなか取り合ってもらえないそうだ。

「娘が暴力をふるってくるのでトイレに逃げると、大声で『児相呼べ!』と叫ばれます。そこで児童相談所に相談しても『今は耐えてください』というだけで全然取り合ってくれません。子どもは児童相談所から守ってもらえるが、親は誰からも守ってもらえない。子どもからのDVに向き合ってくれる機関があれば、助かる親は多いのではないでしょうか」

親から子への暴力はもちろんあってはならないが、子から親への暴力もあってはならない。子どもを守るために、苦しむ親への支援も今後は必要になってくるのではないだろうか。

キャプション 子どもからの暴力に耐える日々が続くという佐川さん(写真はイメージ/Shutterstock)
キャプション 子どもからの暴力に耐える日々が続くという佐川さん(写真はイメージ/Shutterstock)
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取材・文/山崎尚哉