福祉の制度への不信感
55歳の女性は、20代の頃に実家から出奔して、寮完備の仕事に就いた。低家賃で住めるうえ、家電なども設備されているため、身軽に動けることをメリットと感じていた。
「保証人がいないので賃貸は無理」と考えていたため、転職の際の最優先条件は「寮があること」だった。手取りは多いときで20万円弱、低家賃なので貯蓄もできた。
数年前、貧血やだるさの症状が続き受診したところ、悪性腫瘍が見つかった。軽い手術だろうと、休暇をとって入院した。
予後が芳しくなく、職場に事情を申し出て、退職を願い出たとたんに、社員寮からの退去を求められた。次の住まいを探そうと不動産会社へ出向いたが、失業し体調不良とあって、よい物件には巡り合えなかった。
行政にも相談に行ったが、余貯蓄があるから生活保護の受給は難しいと言われただけで、住宅は紹介してもらえなかった。
ここからどれだけ医療費がかかるか先行きが不透明な中で、貯蓄が尽きれば「支援できる」と言われたことに、不信感が募った。
「福祉の制度って、低所得の人しか対応しないんですね。住宅を失うということに対しては制度がないって言われて。自分でなんとかしてくださいって」と振り返る。













