1Kのアパートで経験した恐怖

また、ある43歳の女性は、氷河期世代の中でも最も就職率が低かったとされる2002年に正規の職についた。

同族経営の中小企業の事務職でそれほど待遇が良いわけでもなかったが、働ける場所があることが嬉しかった。

しかし、数年勤めた頃、その会社が不況のあおりを受けて倒産した。慌てて求職活動をしたが、キャリアも資格もなく、中途で採用してくれるところはなかなか見つからなかった。つなぎにと始めた販売や飲食の仕事を掛け持ちする日々が続いた。

氷河期世代は転職するのも難しい現実(写真はイメージ/shutterstock)
氷河期世代は転職するのも難しい現実(写真はイメージ/shutterstock)

転居もたびたび経験した。低家賃にこだわってシェアハウスにも暮らしたことがある。狭く、不衛生で、騒音に耐えられず数か月で退去した。

また、保証金不要の1Kのアパートにも住んだことがある。「ある日の夜、全然知らない人が訪ねてきて、ドンドンとドアを叩くんです。きっと間違えているんだろうけど、怖くて」と、防犯性の低い住宅に女性が一人で暮らす怖さを経験したという。

派遣会社に登録し、正社員への道を模索していたころ、地方に住まう母が要介護状態となった。

一切の家事ができない父が、低賃金で働くくらいなら地元に戻って介護をしてくれと、頭を下げてきた。母が不憫なこともあり、実家に戻り、母の介護に専念した。

介護と両立できる仕事はアルバイトしかなかった。兄や弟には、そんな要求をしなかったのに――「女性だから貧乏くじを引いたのかな」と悔しがっていた。