プロレスが怖くて見られない

仕事としておそらく唯一、関わることができない分野が発覚した瞬間でした。それからはもちろん、プロレスとは無縁の会社員人生を歩んでいました。

ところが5年前のこと。

テレビ局は4月と10月に大きな改編があり、担当番組が変わることも多々あります。そのためアナウンス部内は、なんとなく1ヶ月前くらいからソワソワした空気感が漂うもの。そんな5年前の9月頃、アナウンス部長に会議室へ呼び出されました。

私も改編で何かあるんだなとドキドキしながら会議室に向かいました。

扉を開けるとそこには、アナウンス部長ともう一人。

「早速ですが、三谷さんには10月からプロレス番組を担当してもらおうと思っています」(アナウンス部長)

(予想外すぎる。金輪際プロレスとは関わらないと思っていたのに…)

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「…え? 私プロレス苦手なんですけれど、大丈夫ですか?」

「大丈夫です。もちろんそれも知ってます」(アナウンス部長)

するともう一人(後にプロレス班のプロデューサーだったことがわかりました)が、熱を込めて語り始めました。

「むしろ、それがいいと思っているんです。三谷さんのようにプロレスが“怖い”、“苦手”だと思っている人が世の中にはたくさんいるはず。三谷さんがだんだんプロレスを好きになっていく姿を通して、ファンを増やしていく番組にしたいんです」(プロデューサー)

これまで担当してきたのは、ありがたいことに自分の好きなスポーツばかり。ネガティブな印象を持っているスポーツを担当したことは、もちろんありませんでした。

「でも私、本当にルールもわからないですし、選手やファンの皆さんに失礼になるかもしれないですけど、本当に大丈夫なんですか?」

炎上や、バッシングもある世の中です。不安を口にする私に、プロデューサーは笑顔で答えました。

「大丈夫です。番組のスタッフは全員プロレスファンです。わからないことがあればなんでも聞いてください! プロレスを楽しく学んでいきましょう!」(プロデューサー)

「わかりました、頑張ってみます…!」

「とりあえず初回の収録は何も勉強してこなくて大丈夫です」(プロデューサー)

(ほぇ〜〜、本当に大丈夫か…)

こうして何も知らないまま、私のプロレス担当生活が始まりを告げました。