昨季の大谷と同等の佐藤輝のアレ

プロ入り後、着実に打撃指標が上昇している事実と、両者が開幕から好調をキープしていることから見ても、投高打低が叫ばれる近年のNPBにおいて奇跡といってもいい「OPS1超えのダブル達成」は決して夢物語ではない。指標だけを見れば、「バース・掛布・岡田」の伝説の3人に肩を並べる「最強コンビ」が生まれるかもしれない。

ではなぜ、佐藤と森下は今季ここまで、打撃好調をキープできているのか。NPBは今季から本格的にトラッキングデータの公開に踏み切ったが、専用アプリ「NPBプラス」で両選手の数値を見るとそれも納得できる。

打撃好調の佐藤輝明(左)と森下翔太 (写真/産経新聞社)
打撃好調の佐藤輝明(左)と森下翔太 (写真/産経新聞社)

まずは近年、MLBでもNPBでも高い注目を集めている「打球速度」から見てみよう。佐藤の今季打球速度は、最高が181.2キロ(リーグ4位)、平均が152.7キロ(同14位)。リーグ順位に関してはまだデータの総数が少なく、打数の少ない選手もランクインしているため参考にはならないが、平均152.7キロという数値はMLBでもトップレベルに位置する。

ちなみに、昨季のMLB平均打球速度の1位はオニール・クルーズ(パイレーツ)の95.8マイル(約154.2キロ)。大谷翔平(ドジャース)は94.9マイル(平均152.7キロ)で同3位だった。まだ開幕直後ではあるが、佐藤の平均打球速度は昨季の大谷と同等だ。森下も佐藤には劣るが最高180.6キロ(同6位)、平均148.9キロ(同23位)をマーク。これも、今すぐMLBに行っても十分通用する数値だ。

また、打球速度が153キロを超える率を表すハードヒット率を見ても、佐藤が55.6%、森下が52.8%とかなり高い。これもMLBとの比較にはなってしまうが、昨季のトップはカイル・シュワーバーの59.6%、大谷は58.7%(2位)。両者ともに、MLBでもトップレベルのハードヒット率を残している。

もちろん、投手のレベルやボールの違いなどがあるため、まだ開幕2週間しかたっていないNPBのふたりと、昨季のMLBを比較することはできない。ただ、打球速度やハードヒットは、打率などと比較しても比較的「外的要因」が少ない指標でもある。

ヒットには当たりそこないがたまたま野手の間に落ちる「ラッキー」があるが、打球速度は「ラッキー」で出せるものではない。シーズンが進むにつれてこの数字がどう変化するかはわからないが、少なくとも両者の打撃がかなり高いパフォーマンスであることは、数値が実証している。