監督が明かす、ドラマ「ON&OFF」誕生のきっかけ

──『ON & OFF』シリーズの企画が生まれたきっかけを教えてください。

既存の作品よりも、キャラクターの劇的な変化により焦点を当ててみたかった作品です。「ON」と「OFF」というキーワードを通して、一人の人間の姿が状況によってどれほど違って見えるのかを表現したいと思っていましたし、俳優のみなさんがその境界を魅力的に表現してくださったことで、作品の雰囲気がより際立ったと感じています。

──シリーズ全体を通して、監督が最も大切にされた価値は何ですか。

全体としては、何よりも俳優たちのビジュアルと演技力の調和を最も重視しました。私たちはどうしても全体の予算やロケーションに限りがあり、ストーリー面でも多くの制約があったため、それを視覚的で刺激的な要素によって補う必要があると考えました。
そのため、美しい映像だけでなく、しっかりとした演技力も非常に重要だと考えていました。

──各シーズンに込められたメインテーマと隠れたテーマを教えてください。

恋人関係が持つ立体性と流動性を描きたかったです。時間が経つ中で、それまで知らなかった相手の一面を知ることもありますし、関係の中で感情の主導権が入れ替わる瞬間も生まれます。
そうした関係の変化や逆転を通して、恋愛が持つさまざまなスペクトラムを表現したいと思いました。

season1では「クールな職場の上司と部下の間に隠された密やかな緊張感」。
season2では「完璧に見えたセアの揺らぎと嫉妬」。
season3では「柔らかさの中に隠されたハユンの独占欲と嫉妬」をテーマに描いています。

──ライバルキャラクターは、どのような構想過程を経て作られたのですか。

主人公たちの関係を揺さぶる人物たちであるだけに、ビジュアル面でも演技面でもしっかり対立できるキャラクターを探しました。
また、セアとハユンが抱える欠乏感を刺激したり、2人が持っていない面を備えた人物を登場させたりすることで、感情がよりいっそう極大化するように構成しました。

──撮影中、印象に残っている出来事やビハインドストーリーがあれば教えてください。

撮影現場は比較的小さなチームで進めていたため、俳優さんたちもスタッフも自然とアイデアを出し合える雰囲気でした。
そうした過程の中で、予想していなかった良いシーンがたくさん生まれました。たとえばseason2のキャンディーを使った「HALLSキス」などは現場での話し合いで生まれたシーンの1つです。

「ON&OFF」シリーズ独自の世界観を生み出したともいえるseason2の名場面
「ON&OFF」シリーズ独自の世界観を生み出したともいえるseason2の名場面

──俳優陣が提案したアイデアの中で、最も印象に残っているものはありますか。

台本にはない細かな手の動きや、お互いを見つめるときの視線の処理といった繊細な表現をたくさん提案してくれました。おかげで、私が当初考えていた以上に立体的なキャラクターが完成しました。

──スキンシップのシーンを演出する際、特に気を配った部分は何ですか。

単に刺激的に見えるだけのシーンにならないよう、最も気を配りました。2人の関係性や感情が自然に伝わるように、行為そのものよりも感情の流れや呼吸を表現することに努めました。

私が男性監督であるぶん、女性キャラクターたちの繊細な感情やスキンシップのシーンを演出する際には慎重になる部分が多くありました。そのため、俳優たちが安心して演技できる環境を整えることに注力し、十分にコミュニケーションを取りながらシーンを作っていきました。

「この2人の俳優がいなければ『ON&OFF』は存在しなかった」韓国発のWebドラマが異例の世界的ヒット! 監督が明かす裏側_20
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──カラーグレーディング、画面構図(画角)など映像面で特に意識したポイントを教えてください。

全体としては都会的で洗練された雰囲気を保ちながら、2人が一緒にいる空間では温かみのある色味を使い、「ON」と「OFF」のコントラストを表現しようとしました。さらに、クローズアップを積極的に活用し、人物の微妙な感情の変化を捉えることに集中しました。

撮影はPDさんが担当しているのですが、本当に能力が高い方で、ワークが光っていると思います。

──OSTの選定基準はどういうものだったのでしょうか。

音楽はシーンの雰囲気を完成させる重要な要素だと考えています。歌詞があまりにも直接的すぎず、それでいて2人の感情を自然に引き立てられるような、幻想的で感覚的な音楽を中心に選びました。

ドラマ「ON&OFF」season1 OST

ドラマ「ON&OFF」season2 OST

──セアをハン・ジウさんが、ハユンをチョ・ユンさんが演じたことについて、今改めて振り返ってみるといかがでしょうか。

この2人の俳優がいなければ、今の「ON&OFF」は存在しなかったと思います。それぞれのキャラクターを期待以上に見事に表現してくださり、監督として本当に感謝の気持ちしかありません。

──海外でも大きな人気を得たことについての感想はいかがでしょうか。

とにかく日本や海外で私たちの存在を知ってくださっているということに驚いています。予想をはるかに上回る大きな愛をいただき、今でも驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。

言語や文化が異なっても、「愛」という感情は共感してもらえるものなのだと感じました。俳優さんたちのケミストリーや演技、そして愛という普遍的な物語が、海外のファンの皆さんにもきちんと伝わったのだと思います。好きになってくださって、本当にすごくうれしいです。

──今後SUKFILMで挑戦してみたい新しい試みについて教えてください。

今後は、OTTでの配信や映画祭への出品が可能な、完成度の高い作品にも挑戦してみたいと考えています。今よりも大きな規模の制作環境の中でも、十分に高品質な作品を作ることができるという可能性をお見せしたいです。

──最後に、ファンの皆様へのメッセージをお願いします。

SUKFILMの作品を愛してくださる国内外のファンの皆さまに、心より感謝申し上げます。
GLやBLジャンルのドラマを作る中で、LGBTQコミュニティを通じて温かい関心と応援をいただいてきたからこそ、期待を裏切るような作品ではお返ししたくないという、私なりの哲学があります。まだ足りない部分も多いですが、一歩ずつ成長しながら、より良い物語と作品でお応えしていきたいと思います。

ドラマ「ON&OFF」はYouTubeにて通常版が無料公開中。メンバーシップではthe uncut versionが限定公開中です。

後編に続く

取材・文/Kikka