死んでいない間は戦い続ける

——スクールでの練習を拝見しました。男女混合で容赦なく打ち合っていましたが、国際会では男女別ではないのですか?

加川 別です。私は女性なので戦う相手は女性ですが、海外の選手はゴツくてガタイもいいので男性と変わらない(笑)。あんな大柄な選手に取っ組み合い(レスリング)に持ち込まれたら負けてしまうので、試合中はとにかく相手を近づけさせないことを最優先にしています。常に考えながら動き続け、安全な距離を保ち、隙を突いて攻撃するという、小さい体格ならではのアドバンテージを活かしています。

M しかも加川さんは一撃一撃が速くて綺麗なんです。相手の防御が空いているところを連打で叩く技が得意で、相手が1をカウントする前に5回くらい叩いています。

ジェイ 加川さんは試合をゲームではなく実戦のつもりで戦う感覚とスタミナが強み。スクールでも「死んでいない間は戦い続けること」という指導をしていますが、彼女はその意識を持っているんですよ。

加川 ゲームとはいえ戦いですからね。実戦ならあきらめた時点で殺されて終わっちゃうって気持ちは持っていますよ。

アーマードバトル歴15年の加川聖香さん。鎧は女性用なので、ウエストが絞ってあるという
アーマードバトル歴15年の加川聖香さん。鎧は女性用なので、ウエストが絞ってあるという

——試合や練習中に「今、死んだ!」と思うことはあります?

加川 いいヒットを受けると「やられた! 死んだ!」ってなったりします。逆にかすっただけだと、自分の中で「いや、今のは死んでない」って負けを認めない(笑)。

M 最初の話に戻っちゃいますけど、そうやってリアルな戦争ならとっくに死んでいるくらいフルパワーでやり合っても痛くないとこがこのスポーツの良さです。

加川 そもそもアーマードバトルは歴史的な慣行として、騎士達の訓練のためにやっていたものなんです。要は「軍事訓練」ですから、ケガをさせたり、死なせないように考えられた競技なんですよ。

——楽しいと感じるのはどんな瞬間ですか?

加川 周りから「スカッとしますか」ってよく聞かれますけど、ストレス発散の目的はないかも。やはり最初にハマったロングソード(両手で扱う大きな剣)の技を実戦の中で試したとき。思い通りに出せた瞬間が一番気持ちいいです。

M 僕も技が上達して強くなったと感じられたときは楽しい。以前、家にゴキブリが出たとき柄の長い床用粘着テープを槍のように使って、一撃で倒したことがあって。初めて実生活でも技が活用できてうれしかったです(笑)。

普段は工業系研究員をしているMさん。鎧は高いものになると100万円超するそうだ
普段は工業系研究員をしているMさん。鎧は高いものになると100万円超するそうだ