西洋嫌いだった斎藤被告

この「自分に起こった不都合なこと」について、判決では事件前に斎藤被告が起こした器物損壊事件と関係があると指摘している。

事件の約1年前、斎藤被告はビショップさんの車へ投石した容疑で埼玉県警に逮捕されたが、斎藤被告は一貫して否認し、不起訴になった経緯がある。ビショップさんはこれに納得せず民事に訴え、斎藤被告の母親に約127万円の賠償金を請求。

母親が無断で賠償金を支払ったことを知った斎藤被告は逆に賠償金の返還請求を画策、「無実で不当な身柄拘束をされた」との思い込みが重なり、ビショップさんらへ「報復感情を強めた」と判決は認定している。

送検される斎藤被告
送検される斎藤被告

さらに、引きこもり生活で洋食を食べない斎藤被告は「西洋嫌い」という価値観に支配されており、鑑定医は「身近にいる西洋人としてビショップさんが標的になったと考えられる」とも証言。これらの証言を踏まえ、判決はこのように総括した。

「被告は被害者に対する殺害や攻撃が、違法であることは認識しながらも、ある種の自衛ないし防衛といった見方をしていた可能性が考えられる。精神障害による被害妄想と器物損壊事件による怒りがないまぜになった報復感情は強く、殺意や攻撃意思を強く動機づけた」

無期懲役の判決言い渡しに際し、斎藤被告自身は無表情。弁護人はやや安堵した顔つきだったに対し、死刑を求刑した検察官の表情は険しかった。それもそのはず、この裁判では被害者遺族が被害者参加制度を利用して意見陳述をしており、峻烈な処罰感情とともに過去の思い出を述べる様子に、涙をぬぐう傍聴人もいたほど、法廷は一貫して悲しみに支配されていたのだ。

主な意見陳述は次の通りだ。

「ただただ3人を返してほしいです。被告人は『やっていない』と言えば罪を逃れると思っていたのでしょうか。

本当に怖かったと思います。本当に痛かったと思います。せめてものお願いです。被告人を死刑にしてください。本当はそれだけでは足りないと思います。同じ恐怖を感じることはないのですから......」(森田泉さんの妹)

「斎藤被告が器物損壊の容疑で逮捕されてホッとしていたのに、起訴されずに帰ってきたことは本当にショックでした。残虐で、鬼畜の所業で、人を踏みにじる犯行。どれをとっても被告人には極刑しかないと思います」(森田泉さんの弟)