「主文、被告人を無期懲役に処する」

判決によると斎藤被告は2022年12月25日朝、飯能市美杉台の民家の敷地内で、住人のビショップ・ウィリアム・ロス・ジュニアさん(当時69歳)と妻の森田泉さん(同68歳)、長女の森田ソフィアナ恵さん(同32歳)の3人を斧で襲って殺害。さらに、被害者宅の一階で火を放ち、リビングの天井などを焼損した。

事件現場となった被害者宅(写真/筆者撮影)
事件現場となった被害者宅(写真/筆者撮影)
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午後3時に開廷した判決公判で斎藤被告は、これまでの公判と同様、紺色のダウンジャケットに灰色ズボン姿で現れ、終始伏し目がちでときおり目をつぶったりするものの、表情にはほとんど変化がみられなかった。死刑求刑で緊張感の漂う法廷の証言台に被告を立たせた井下田裁判長は、冒頭で「主文、被告人を無期懲役に処する」と判決を宣告した。

今年2月の公判で死刑を論告求刑した検察側に対し、弁護側は「被告は犯行当時、精神疾患を患っていた影響で心神喪失状態だった」と無罪を主張。斎藤被告も「知らないことです」と起訴内容を否認していた。

判決は犯行当時の責任能力について一定程度の心神耗弱状態を認めたものの、一方で被告が犯行時にマスクを着用するという犯行の発覚を隠蔽するような行動をとっていたことから、「善悪の判断能力、行動制御能力を肯定できる事情も存在する」と指摘。

そのうえで3人殺害という凶悪事件を鑑みて「本件は極刑をもって臨む余地がある」としつつ、「心神耗弱による法律上の減軽をすることになるが、その刑事責任が極めて重大であることから、無期懲役に処するのが相当である」とした。

本件では起訴に至るまでに10か月もの長期間にわたって精神鑑定が行われ、第5回公判では鑑定医が斎藤被告の精神状態についてこのように証言した。

「彼は自分に起こった不都合なことは周りに原因があると考えやすい傾向があります。被害を受けているという妄想から、報復感情が強まって本件の犯行に至ったと認められます」