「不気味な除籍」と「はめられた自分」
そもそもの疑惑が昨年6月に「怪文書」によって明るみに出た際、彼女が抱いたのは言葉にできない「不気味さ」だった。
「『除籍』という言葉はあまり聞き慣れない言葉だったので、不気味なものを感じました。さらに怪文書には※印で(卒業証書の)偽造には注意とまで書かれていて。『これは何だろう』『何かあるのか』『私って除籍という処遇だったのか?』など危機感も感じました」
実際に大学の窓口へ足を運んだ。そこで「卒業証書はお出しできません。除籍になっています」 と宣告された際も、田久保氏は「陰謀論」的な思考へと向かう。
「何かが動いていて自分がどんどんはめ込まれていくのかなという不安」があったという。
田久保氏に対し本誌記者は幾度も卒業証書の実物を開示することを打診してきた。だが常に「捜査中なので出せる状況ではない」という回答を盾に、鉄壁のガードを敷き続けてきた。当局による捜査状況についても、以前はこう語っていた。
「進んでいると思います。今のところまだ私の聴取はありません。ちょっと件数は多いですけど刑事告発されましたから、あとは捜査にお任せし、要請があれば協力して粛々と進めます」
だが実際には、今年2月までに2回の任意聴取を受けながら、最重要書類の提出は拒否し続けている。自らを刑事告発した相手や議会に対しては「警察の捜査にお任せする」とポーズを取りつつ、実際には法的な権利を行使して当局の追及をかわしていた。
不信任案を突きつけられ、市政が停滞する中、再びおこなわれた市長選でも惨敗した田久保氏。12月15日、田久保氏の元を訪ねると、彼女は落ち込んでいる様子もなく、静かにこう言い放った。
「これで終わりですとはいかない」
「相手候補と戦っているというより、報道と戦っていた」
市長の椅子を追われ、刑事捜査の網が狭まる中、彼女が崩していなかったのは「自分は学歴詐称をしていない」という頑ななまでの自画像だ。
「だから学歴詐称はしていません!」
それを証明する手段となる「卒業証書」が県警の手に渡る日は来るのか。伊東市政を大混乱に陥れた学歴詐称疑惑は、今後どのような結末を迎えるのだろう。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













