最近のレスラーの体を見て思うこと
——今回出版された『マッチョ・ドラゴン式トレーニング 古希でも闘える体づくり』では、一般の中高年にもできるストレッチやトレーニングが紹介されていますけど、藤波さんの若い頃のプロレス道場というのは、“超人追求”のような過酷なトレーニングをされていたんですよね?
藤波 そうだね。僕がプロレス界に入った頃は異常だったもん。みんなレスラーひとりひとりに個性があってね。山本小鉄さんなんか、身長は170cmそこそこで一般の人たちともそんなに変わらなかったんだけど、胸板は厚いし、腕は太い、太ももなんか60~70cmぐらいあって、すごい身体してたもん。
――ミュンヘン五輪代表だった長州力さんも、新日本に入団した時、間近で見た山本小鉄さんを始めとしたプロレスラーの身体に驚いたらしいですもんね。
藤波 ひと目で「プロレスラーはすごいな!」って思わせる身体をしていたからね。だから山本小鉄さんからよく言われたのは、「お客さんはお金を払って見にきてくれているんだから、プロレスでいい試合を見せるのは当たり前。それ以前に、見せられる身体を作れ」ということ。それが口癖だったね。その言葉がまだ僕の耳に残ってますよ。
1970年に16歳で日本プロレスに入門。翌71年デビュー。78年にWWWFジュニア・ヘビー級王座を獲得。同年2月に帰国、空前のドラゴンブームを巻き起こした。2006年6月新日本を退団し、同年8月に無我ワールド・プロレスリングを旗揚げ。08年1月より団体名を『ドラディション』に変更。
――だからこそ、藤波さんは72歳になった今も、「お客さんに見せられる体づくり」に励んでいるわけですね。
藤波 それは心がけているし、レスラーとして必要なことだよね。昔のレスラーはみんなデカかった。みんな身長は190cm近くあったし、体重は110kgぐらいあるのが当たり前だった。でも、今の時代はそういうレスラーらしい体つきっていうのは必要とされてないのかな?
――若いレスラーは、小柄で細マッチョみたいな人が多いですよね。
藤波 今の若い選手たちは動きは速いし、すごい跳び技をやったりするから、身体を大きくするっていう意識はあまりないのかもしれない。でも、リングに上がるだけで「レスラーはすごいな」って思わせるような部分を、もう一度考えたほうがいいんじゃないかなっていう気もするね。
――お客さんに裸を見せることへの美学でいうと、藤波さんはいまだに膝にサポーターをつけてませんよね。アントニオ猪木さんも引退するまでそうでしたけど、黒のショートタイツとリングシューズだけ。その辺もこだわりですか?
藤波 ケガの防止のためには、本当は膝のサポーターは付けたほうがいいのかもしれない。自分も何回か付けたことはあるんだけど、なんか違和感があるんだよね。リングに上がったら、自分の真の身体で勝負したいっていうのかな。考えてみたら、猪木さんもサポーター類はあまりしてなかったし、長州もしてない。われわれの世代は、そういう意識ってあるんじゃないかな。













