気性的には猪木派でなく馬場派?

――まさにレスラーとしての美意識ですね。

藤波 こういうことを言ってると、これからサポーターをしたくてもできなくなっちゃうけど(笑)。僕や長州の世代っていうのは、そういう細かい部分に至るまで、猪木さんの影響を知らず知らずのうちに受けてるんじゃないかな。普段の練習に対する姿勢から、リング上での動き、息遣い。ファイト内容でも猪木さんの怒りであったり、相手との間の取り方だったり、どうしても似てくるんですよ。それはしょうがないね。猪木さんをずっと間近で見てきたわけだから。

――猪木さんも晩年までトレーニングは続けていましたよね。引退してからもよく走ってましたし。

藤波 日本のプロレスはお相撲から来たものだから、昔はあまり走るレスラーっていなかったんだけど、猪木さんは試合前に会場の周りをよく走ってたね。だから、僕らもよく走ってましたよ。

72歳でも現役バリバリ…藤波辰爾が今のレスラーに感じる違和感「すごいなって思わせる体をもう一度」_2

――いろんな面で猪木さんの影響を受けているわけですね。

藤波 自分は性格的には猪木さんのような気性の激しさがあまりなくて、馬場さんのような穏やかな感じなんだけどね(笑)。

――馬場さんも「生涯現役」とよく言ってましたからね。藤波さんも昔から現役を長く続けたいという思いがあったんですか?

藤波 いや、そういうことは考えてなかった。先輩方もみんな50の声を聞いたら引退という感じだったし、馬場さんが60歳でリングに上がっているのを見た時は、「うわ、すごいな。還暦でもリングに上がれるのか」と思ったからね。それが気がついたら、自分が還暦をはるかにすぎても続けているんだけど(笑)。

――「長く続けたい」と思うようになったきっかけはあったんですか?

藤波 きっかけというわけじゃないんだけど、60歳を過ぎてもまだ自分の体は動いたし。あとは、やっぱり「プロレスが好きだ」っていう思いが強かったんだよね。リングに上がることが好きだし、リングっていうのは僕にとって「パワースポット」みたいなもので、リングに上がると元気になるんですよ。

――リングに上がること自体が、年齢を重ねても元気でいられる秘訣みたいな感じですかね。

藤波 そうだね。だから試合数は少なくなったけど、「リングに上がる」という目標があるからこそ、トレーニングもがんばることができる。だから次の試合が決まることが、自分にとっての“ニンジン”だよね。それが自分のエネルギーになる。