生活保護制度、どのような見直しが必要か?
前出の佐々木氏は言う。
「今の日本は、①仕事と収入が安定しているが住まいがない人と②仕事も住まいもない人への支援制度しか選択肢がなく、③働きたいが不安定な就労しか選択肢がない人を支える仕組みがないんです。
①には東京都限定ですがTOKYOチャレンジネットという3か月無償で住まいを提供してもらえる制度があり、②には生活保護制度があります。
③の人たちは『働きたい』と意欲はあるので、生活保護の住宅扶助だけを分離して利用できるような制度を作ってほしいですね」
生活保護制度には、国民の最低限度の生活を保障し自立を助けるために、生活扶助、医療扶助、住宅扶助など8つの扶助がある。
「不安定な働き方をしている人の中には、仕事の能力は高く、スキマバイトや日雇いで短期的には月20〜30万円以上を稼いでいる人も少なくありません。
彼らの住まいを安定させるために、条件付き(例えば3か月連続13万円以上の収入があるなど)で住宅扶助単体の制度を作り、入居時の一時金(敷金+礼金+数ヶ月分の家賃)を補助してもらえるだけでも多くの不安定な労働者は救われると思います。
現在、支援を求めやってくる方の8割は単身世帯ですが、この制度の導入で、地域への定着と家族形成にもつながると思います」
問題は他にもある。厚労省のデータによれば、一度受給すると自立・脱却できる人は14.5%と極めて少ない。(厚労省「令和3年度被保護者調査 月次調査(確定値)」結果の概要より)生活保護受給者の脱却率を上げるために必要な仕組みとはなにか。
「生活保護受給者には、長らく社会から断絶されている不安から社会復帰へ前向きになれない方もいます。若年層〜40代を中心に、学び直しの機会やスキルアップの場を積極的に提供する支援制度があるとよいのではないでしょうか」
フランスの生活保護(RSA)は単身世帯で650ユーロ(約12万円)の現金支援とともに、スキルアップの伴走支援にも力を入れている。2025年には、週15〜20時間の就労・社会活動義務が導入され、職業訓練や社会参加を通じ自立を後押しする。すでに、フランスの一部地域の実験では42%が社会復帰を果たしたという成果が報告されている。
佐々木氏は最後にこう続ける。
「なにより『生活保護を受給した方が働くよりお得』なんて言わせないための、賃金アップと安定した雇用制度を築くことが生活保護者を減らすには欠かせないのでは」
多くの人が安心して働く場を得られるように、雇用制度・福祉制度を本気で見直すことが求められているのではないだろうか。
取材・文/山田千穂 集英社オンライン編集部ニュース班














