スキマバイトで陥る「家賃が払えない」

保護費の受給で定住先を得られたのもつかの間、別の問題が発生すると佐々木氏はいう。

「生活保護費を11万円もらっている人が、『保護費だけで生活することに罪悪感がある』とスキマバイトを頑張り、1月に10万円を稼いだとします。それを正直に収入申告すると、多くの自治体では『2月も10万円稼ぐだろう』と“見込み収入”として収入認定されます。

すると2月の最初に振り込まれる保護費から10万円が差し引かれます。

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
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勤労控除により、受給者には働いた分の一定額は手元に残る仕組みですが、それは数万円程度。スキマバイトや日雇いの仕事は勤務時間が定まっていないうえに、体調面に問題を抱える人も多く、今月は10万円稼げていても、翌月には2万円しか稼げないことがザラにあります。

保護費の総受給額は変わらないため、後日、見込み収入額に足りない8万円が振り込まれる仕組みですが、即日振り込まれるわけではありません。半月か、それ以上待たされることもあり、その間、固定費である家賃の支払いが滞りやすいのです。

もちろん、受給者が即日支払われたお金を貯蓄していなかった非はありますが、生活にゆとりがない中でやりくりしている人が多いのが現状です。手元に現金がないまま、家賃の滞納をしている状態で心理的に追い詰められる人もいます」

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
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次月の収入認定は、本来は受給者と担当ケースワーカーで話し合い、前月より前の数か月分を参考に決められるが、相談にくる人のなかには“前月の収入額で問答無用に見込み認定された”と頭を抱える人も少なくないという。

“収入認定”について事前に理解せずに、「働きすぎて痛い目を見た」と神奈川県在住のヤマトさん(28)は言う。

「持病が悪化し、働けなくなったので8か月前から生活保護を受給しています。半年前、少し調子が良いときにアプリを利用し、日雇いの仕事をして12万円近く稼ぐことができた月がありましたが、“収入認定”のことを知らなかったため、翌月に振り込まれた保護費が少なくて驚きました。

後にケースワーカーの方から説明を受けましたが、働いても勤労控除でもらえるのは1万5000円程度。結局、働かずに受給する生活保護費の金額とほとんど変わらず、今では働くことがバカらしくなってしまいました」

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
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生活保護は、生活に困窮する者に対し「最低限の生活を保障する」とともに、その「自立を助長する」ことを目的とすると、生活保護法に定められている。

にもかかわらず受給者に「働くことがバカらしい」と思わせるのは、制度の立てつけが間違っていると言わざるを得ない。