「黄緑色」で一くくりにはできない!? 「まず自動車からパステルカラーのような……」
この説を受け、戦後から日本の家庭を支えてきた老舗家電メーカー・シャープに、なぜ当時の家電に黄緑色が多かったのか聞いたところ、広報担当者は「1970年代の日本では、高度経済成長の影響による公害問題もあり、環境意識の高まりを背景に、大地や植物などの自然物をイメージした色『アースカラー』が流行しました」との回答を得た。
消費者が自然を求めていたという冨永氏の分析は当たっていたようだ。
さらに、いつ、どこから黄緑色の家電が普及したのかもたずねたところ、「1977年にシャープが発売した『3ドア・アラスカ』が、緑色の冷蔵庫として市場に登場したのをきっかけに、緑色をはじめとするカラフルな家電は、1970年代後半から1980年代にかけて広まりました。この色の登場により緑のカラーリングの人気は高まり、掃除機や洗濯機、炊飯器などあらゆる家電に取り入れられました」とも教えてくれた。
その後、黄緑色が廃れ、現在のようにシルバーや白黒が定番になった時期については、「1980年代後半からは一気にモノクロのトレンドが訪れました」と答えた。さらに、「塗装鋼板技術が向上するにつれて、さらに多様な色合いを表現できるようになったほか、防汚性やデザイン性に優れた、マット仕上げなども可能になりました。現在のモノクロは、以前のモノクロとは違い、インテリアにも調和する、シンプルで洗練された色合いを実現しています」とも解説している。
しかし、ここで新たな事実が判明する。冨永氏によると、黄緑色の昭和家電といっても、時代によって色合いが異なるというのだ。
「当サイトの背景にもなっている“昭和レトロ色”みたいなカラーは、昭和30年代に流行ってるんですよね。歴史的にいうと、昭和30年代にまず自動車からパステルカラーのような薄い緑が流行り、いろんなアイテムに使われて。そこから10年ぐらい遅れて、昭和50年前後に色が濃くなった黄緑色の家電が流行り始めました」













