なぜ「うんこ」だったのか──理屈でたどり着いた最強のモチーフ
――その中で、最終的に「うんこ」をモチーフに選んだ決め手は何だったのでしょうか。
安部 理由は大きく二つあります。一つ目は、オリジナルIPを生み出すこと。これは会社としても、事業部としても明確な使命でした。もう一つは、プラモデルの部署して「作る楽しみがあるもの」であることです。
キャラクターとして成立していても、「作る意味」がないものはやりたくなかった。ただ、オリジナルキャラクターを売ろうとすると、アニメを作るなどして認知を広げる必要があります。
でもそれをやると投資額が大きくなり、ビジネスとして成立させるには、今よりはるかに売らなければならない。そうなると、「作る楽しみ」よりも「売るための商品」になってしまうんです。
だったら、アニメがなくても売り場で目に留まって、「何これ?」と言われるものを作ろう。インパクトと笑いで勝負しよう、と考えました。
当時は(恐竜のプラモデルの)「プラノサウルス」の企画が先行していましたし、「ガンプラ」という大きな主軸もあります。では、ロボットも恐竜も刺さらない人たちに向けて、全然違うコンセプトの商品があってもいいんじゃないか。理屈抜きで楽しくて、作りながらゲラゲラ笑えるものがあってもいい。そうやって考え、理詰めでたどり着いたのが「うんこ」でした。
――この企画を最初に出したとき、社内の反応は正直どうでしたか。
安部 体感でいうと、賛成が3割、戸惑いが7割くらいでした。明確に「ダメ」と否定されることは意外となかったんですが、「本当にやるの?」という空気感は、オンライン会議でも伝わってくるほどでした。
一方で若手は賛成派が多かった印象です。そんな中で、上層部も「チャレンジとして面白い」と評価してくれました。ただ、懸念はたくさん出たので、そこを一つずつ潰していく形でした。
――そのときに挙がった「懸念」というのは、具体的にどんな点だったのでしょうか。
安部 まずは「うんこって本当に商品として成立するの?」という、倫理面やコンプライアンス面ですね。もう一つは、ねんど(素材)の安全性。ここが一番現実的で重要な論点でした。













