「外交は喧嘩するためにあるわけじゃない」
――ネットでの虚偽情報も使った攻撃は、外相の時に強調されていた「外国との対話と協調を深めようとする行動」に対し特に激しいようです。
岩屋毅(以下、同) 一種の排外主義であり、日本の立ち位置に対する理解不足だと思います。中国、韓国については国民の皆さんも非常に複雑な思いを持っておられると思いますが、それは先方もそうだと思うんですよね。お互いの間の不幸な歴史もありましたからね。
しかし、だからこそ近隣との外交は重要なんです。「嫌韓」とか「嫌中」とか言っていて、じゃあ日本外交って成り立つんですか、っていうことです。
むろん日米同盟がわが国外交の基軸ですが、これから先は日米同盟一本足でも日本の外交は成り立たない。いろんな同志国と多層的、重層的な関係を網の目のように構築しなきゃいけない。その上で、近隣諸国とは安定的な関係を築いていなければいけない。そういう考え方に基づいて対中外交、対韓外交を私はやってきたわけです。
――なるほど。
それがけしからんという人たちの理由がよくわからないですね。じゃあ中国、韓国と険悪な仲になれというのかと。そういうご意見でもないんでしょうしね。
過去の歴史問題などを理由に、今でも韓国や中国から日本に対して厳しい声が出ることはあります。それに対する反発の気持ちがおありなんだろうなとはよく分かりますが、相手側の国民の思いもおもんぱかりが必要だと思いますね。
外交は喧嘩するためにあるわけじゃなく、関係を管理しできるだけ良好に維持するためにあるわけですから、これからも対中外交、対韓外交は日本の外交の中でも大きな柱の1つにならなければいけない課題だと思います。














