「夢・夢・夢の巻」(ジャンプ・コミックス第196巻)

今回は、中国から日本を訪れている文化交流学生の少女と、彼女のアニメへの情熱を後押しする両さんの姿を追うお話をお届けする。

日本は世界でもっと高い支持を受けているアニメ制作国だ。他には、スケールとエンタメ性で勝負するアメリカ、国策としてアニメ産業を推進させつつ広大な市場でもある韓国と中国。

そんな国のひとつ、中国からやってきた少女、李紅花(リー・ホンファ)は日本のアニメ文化に深く傾倒し、アニメーターを志望していた。そんな彼女の熱意を感じ取った両さんは……。

韓国と中国は、日本のアニメ産業とは深い関わりがある。動画や仕上げといった制作工程の一部を、日本の企業から請け負っていた歴史があるのだ。技術や作品の特性は日本アニメの影響を大きく受けながらも、近年はそれぞれの文化性や最新のデジタル技術によって、独自性を発揮しつつある。

なお、両さんが紅花を原画の持ち込みに連れて行ったアニメ制作会社のベテランスタッフ「布山」の名は、『こち亀』作者の秋本治先生がアニメ制作会社「竜の子プロダクション(現・タツノコプロ)」で仕事をともにしたことがある布川ゆうじ氏の名をもじったものだろう。

布川氏はのちに「スタジオぴえろ」を創業し、長くアニメ界に貢献。惜しくも2022年に逝去された。同氏は、2019年にタツノコプロ出身のクリエーターたち(秋本治、天野喜孝、大河原邦男、高田明美)による企画展「ラフ∞絵」の実行委員長を務めた。

秋本先生は『こち亀』のネーム多数のほか、アニメーターとして参加していた『科学忍者隊ガッチャマン』のセル画、天野喜孝氏が挿画を担当する『吸血鬼ハンターD』と自作『BLACK TIGER ブラックティガー』のコラボイラストなどを出展した。

それでは次のページから、アニメを志す若者を応援する両さんの、ちょっといい話をお楽しみください!!