実際に経験した悪夢のような海外不動産投資。裁判沙汰にも…

「海外で不動産を買う」

この言葉を聞いたとき、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?

おそらく決してポジティブなものではないはずです。そして、そのイメージは概ね当たっています。

「トルコの不動産は詐欺大国と言われるぐらい、価格がブラックボックス」
「目の前に価格表が2枚出され、都合の悪い方はさっと隠される」
「弁護士に同行してもらい、リーガルチェックをしっかりやっても失敗する」

これらは、私が実際に経験した海外不動産投資の悪夢のような現実です。

最終的に、私がトルコのイスタンブールで投資した不動産は、約9000万円もの損失を出す可能性に直面しました。この経験は、どれほど専門家を頼って慎重に進めたとしても、そもそもの市場ルールや透明性が欠如している環境下では個人投資家がいかに無力かを痛感させるものでした。

写真はイメージです
写真はイメージです

例えば、トルコの不動産契約交渉の過程では、外国人向けに不動産価格が不当に吊り上げられる「二重価格」が常態化していました。

また、トルコでは登記簿に物件購入価格を記録するのですが、ほとんどの国民が税金を逃れるため、登記手続き上で記録される価格と実際の取引価格は一致せず、市場価格は完全にブラックボックス化。

さらに法律は頻繁に変更され、しかも過去にさかのぼって適用されるため、前日まで有効だったルールが翌日には無効になることも珍しくありません。建築の遅延も日常茶飯事で、デベロッパー(開発業者)は個人経営の零細企業が多く、資金の持ち逃げリスクも高い状況でした。

私の場合は、「もうすぐ完成するから」という言葉を信じて全額の物件費用を支払ったにもかかわらず、待っていたのは、地権者とデベロッパーとの泥沼の争いと、長期化する裁判だったのです……。

さらに恐ろしかったのは、建設関係者同士のトラブルがエスカレートし、ついには暴力事件にまで発展したことです。

「俺の建物で何してるんだ!」と叫びながらナイフを持って暴れた建築会社の人間によって、なんと私の隣の部屋を購入していたトルコ人の男性が刺されるという傷害事件が起きたのです。もし私がその場にいたら……と考えると、今でも背筋が凍ります。