最初の面会の日に書籍などを宅下げ
2025年2月28日、初めて対面した際に、植松死刑囚は、照れながらも感激した様子で、翼さんに何度もお礼を言ったという。
実の両親は時々面会に訪れているが、頻繁にとはいかないため、その妻との最初の面会で彼はいろいろな頼みごとをした。
例えば彼の手元にあった約50冊もの書籍や雑誌を宅下げという形で引き取るといったことだ。とはいえ、彼女が用意してきたキャリーケースに入りきる量ではなく、仕方ないので拘置所のそばのコンビニから、創出版へ宅配便で送ることにした。
植松死刑囚が東京拘置所に移送された2020年以降、どんな本を読んできたかには多少興味があって、仔細に眺めた。
まず多かったのが、『ゴルゴ13』や『ジョジョの奇妙な冒険』などのマンガだ。特に『ジョジョ』関係は、ボロボロになるまで読み込まれた増刊のほか、新書版や文庫版なども揃っており、お気に入りのマンガであることがよくわかった。
そのほかでは浅野いにおさんのマンガ単行本『世界の終わりと夜明け前』。終末ものも植松死刑囚のお気に入りだ。グラフィック関係の本や、仏像の写真が載った本もあった。
彼は獄中でよく観音像などのイラストを描いているが、そのために仏像の写真が載った本を手元に置いていたのだろう。
よくわからなかったのが『家庭教育の心得21』(森信三)といった本だ。なぜ彼が家庭での教育に興味を抱いたのか、不明だ。
28日に最初の面会を果たして以降、翼さんは連日、面会に足を運んでいる。2人ともブルーハーツなど好きなミュージシャンが同じだったりして話に花が咲いているらしい。
翼さんはこれまで自殺未遂を経験するなどしてきた女性で、植松死刑囚になぜ思いを馳せるようになったかなど内面はそう単純ではない。3月4日の手記に「何故か帰りの電車でひとすじの涙が頬を伝いました」とある。
獄中結婚といっても、植松死刑囚はいつ刑が執行されるかわからない存在だし、ようやく会えるようになったといっても、今の状態は不安定なもので、彼女自身、いろいろ戸惑いを感じているのだろう。













