『永ちゃんコール』『一緒に歌う』などの行為は禁止

一方で、日本のアーティストの場合は「一緒に歌わないでください」と、明確にアナウンスされるケースもある。

例えば、矢沢永吉は公式ホームページで「コンサートにおける注意・禁止事項」と題し、次のように明記している。

〈コンサートの1曲目から本編曲の終わりまで、「永ちゃんコール」「一緒に歌う」「ヤジ等」などの行為については引き続き禁止とさせていただき、皆様のご協力をお願いしたいと存じます。〉

この方針は、コロナ禍における声出し禁止ルールが徹底されたなかで、多くのファンからそれに対し肯定的な寄せられた声を受けた対応でもある。

「永ちゃんの歌がちゃんと聴けてすごくよかった」「バックミュージシャンの演奏もかっこよかった」「周りに騒ぐ人がいなかったので、とても快適だった」といった感想が多く寄せられたのだ。ちなみに開演前やアンコールでは〈他のお客様のご迷惑にならない範囲内での「声出し」をOK〉としているとのこと。

前出のB’zファンも、今後はこうしたルールが広く浸透してほしいと願っている。

「アーティストから(歌ってと)煽られたときは思いっきり歌っていいと思います。でも、それ以外の場面では“聴きたい人”のほうが圧倒的に多いはずなので、周囲に配慮したボリュームで歌う、もしくは口ずさむ程度にとどめるのが望ましいと感じます。

今回、私はどうしても我慢できず男性に苦言を呈しましたが、何も言えないまま終演を迎えていたら、チケット当選の瞬間から楽しみにしていたライブの思い出が、すべて台無しになってしまったと思います。自分では声をかけづらい人も多いと思うので、迷惑行為があった際にはスタッフに対応してもらえるような仕組みが、すべてのアーティストのライブで整っていればいいなと感じました」

ライブは楽しむ場であることに間違いはないが、周囲のファンへの配慮も忘れてはならない。


取材・文/千駄木雄大