「劇画刑事・星 逃田Ⅱの巻」(ジャンプ・コミックス第18巻収録)
今回は、本庁勤務の刑事・星逃田(ほし・とうでん)の二度目の登場回をお届けする。
星は“劇画刑事”と呼ばれており、作者の秋本治先生がアマチュア時代にどっぷりと影響を受けた、1960年代末から1970年代に大いに流行した「劇画」的な絵柄とキャラクター造形に基づいてるキャラだ。顔が恐いのは、劇画のハードボイルドな主人公を意識しているためだ。
そんな星の初登場作「劇画刑事・星 逃田の巻」(ジャンプ・コミックス第17巻収録)と本作では、その「劇画」を徹底的に茶化し、さらには漫画そのものの構造をどんどんぶっ壊していく実験のためのキャラとして登場してるのだ。
その凄まじくアナーキーな作風は、1ページ目から全開! ぜひともご堪能いただきたい。
……とその前に、星と本作についてのちょっとした補足をしておこう。
まず、星の名の由来は、星=犯人(被疑者)のことを「ホシ」と呼ぶ警察用語と、それを逃がしてしまう間抜けな警官という意味を込めた「逃田=にげた」を足したものだ。
星が言及するライターとは、初登場回で彼が紛失したライターの代わりに、読者がライターを編集部に送ってくれたことを指している。カルチェ(カルティエ)とは、宝飾品、皮革製品、時計、サングラスなどを製造・販売するフランスのブランドで、星が愛用していたのはカルティエの高級ライターだった。
作中でいきなり登場するゲストキャラは、『別冊マーガレット』で1979年から1982年にかけて連載されていた亜月裕先生の人気作品『伊賀のカバ丸』の主人公、伊賀野影丸(いがの・かげまる)だ。
そして星がいきなり解説をしはじめるコマは……本作が「週刊少年ジャンプ」1980年2号に掲載された際に、そのコマには集英社の刊行物の広告が入っていたことを述べている。
このように、本作は劇画風の強面キャラがギャグをかますのにはじまり、全編を通してネタがてんこ盛りなのだ。
それでは次のページから、 カッコつければつけるほどにおかしい、劇画顔の刑事によるドタバタギャグの大暴走ぶりをお楽しみください!!



















