「殴った手のほうが痛い、クマの体は硬い」
11月9日午前6時20分ごろ、青森県三戸町のラーメン店の男性従業員Aさん(50代)から「クマに顔を襲われた」と119番通報があった。
事故の現場となったのは、三戸駅から南西に約3キロメートルの国道バイパス沿いにある「麺工房てんや三戸店」。午前5時から5時半にかけて、店舗裏でラーメンの仕込みをしていたAさんが体長約1メートルのクマに襲われ、右目付近に裂傷を負うなどのケガをしたという。
Aさんがクマに襲われた当時のことを振り返る。
「朝5時ごろに出勤し、店裏に出てガス栓を開けようとしたら、黒いものがモコモコって動いていて。大きい犬かなと思ったら、クマでした。大きさからみて子グマだと思います。そしたらいきなり俺の顔をめがけて、バーンと爪のある手で襲ってきた。避けきれなくて、右目付近を引っ掻かれてしまった。
とっさに左手でそいつ(子グマ)の顔面を殴ったんだけど、全然効かなかった。殴った手のほうが痛くてね。クマの体は硬い筋肉というか、鉄板みたいな毛皮に覆われている感じ。人とは全然違う」
男性は、子グマに反撃した当時の心境を「逃げたら終わるな、死ぬなと思っていたから必死の抵抗だった」と語る。
その後も子グマを殴り続けるものの、効果はいまいちだった。
「何度も殴ってもさ、全然びくともしない。とにかく手が痛かった。戦い方を変えて、クマの懐に入る感じで脚を引っかけたら、ゴロンと後ろに転がった。それで助かった感じですね。柔道でいう大外刈りでした。後に倒れたクマは国道の方にある店と反対側の山へ逃げていった」
子グマとの戦いを終え、男性は次第に痛みを感じ始めた。頭から血が流れており、右手で右目付近を押さえても血が止まらない。仕方なく店にあったタオルで止血を試みたものの、吸収できないほどの血が流れ出ていたという。













