一部のインフルエンサーの目に余る行動

仮に世帯年収2000万円を超えるようなパワーカップルでも、自宅のローンとは別に、新築タワマンのローンを組むのはほぼ不可能だ。サラリーマン投資家を排除したことで、これまでのように、人気が出そうな部屋に数百倍の倍率がつくような事態は起こりにくくなる。自宅を求める人にとっては朗報と言えるだろう。

大手不動産デベの住宅部門の社員であるB氏は今回の三井不レジの対応を称賛する。B氏は「最近、SNSでマンションクラスター(マンクラ)と呼ばれる人たちが『タワマン投資』でいくら儲かったのかを大々的にアピールしたり、宅建免許を取得していないのにセミナーやオンライン相談で利益をあげたりと、一部のインフルエンサーは目に余るほどだった」と憤る。

B氏が特に問題視するのが、タワマン転売で有名になった、とあるインフルエンサーだ。不動産投資に関する著作もある同氏はリビオタワー品川の抽選に際し、知人に名義貸しを依頼。

複数の名義を使って抽選に参加し、転売益を得ようと目論んでいたことが明らかになっている。事件の発覚後も公の場で活動しており、「ああいうモラルのない行動は絶対に許せない」として、「モデルルームから出禁にするなど、なにかしら手を打たなければという議論が社内で進んでいた」と明かす。

転売したら2000万円没収も「あまり効果ない」三井不動産タワマン規制…成金インフルエンサーの倫理なき行動_3

倫理観を失った拝金主義の不動産インフルエンサーの存在

倫理観を失った拝金主義の不動産インフルエンサーの存在が今回の転売規制につながったことは想像に容易い。

サラリーマン投資家や悪質なインフルエンサーにとっては大打撃となった今回の規制だが、投資家の完全排除は難しいというのはB氏も認めるところ。

「抜本的に取り組むのであれば、短期転売した際の譲渡所得税の引上げや法人名義での居住用不動産の購入に対する制限など、法改正を伴う対策が欠かせない」という。

折しも、高市政権下で外国人の土地取得規制の議論が始まった。今後、外国資本に限らず、実効性のある対策を打ち出すことができるのか注目が集まる。

文/築地コンフィデンシャル