対中関係の悪化を懸念する声も
また、高市氏の「リスク」とされているのが、外交問題だ。これまで靖国神社への参拝を持論としてきた、“高市総理”による対中関係の悪化を懸念する声もある。
とはいえ、前出の篠原氏によれば、高市氏は「中国とは“戦略的互恵関係”を維持していく」と周囲に語っているという。
「高市さんは今回の総裁選では、総理になってから靖国神社を参拝するかどうかについて明言してこなかった。中国との戦略的互恵関係の維持を目指すなら、靖国神社参拝を事実上、棚上げする立場は今後も守るしかないだろう。ただ、保守派の支持者は不満を募らせる可能性もあり、高市氏を悩ませるかもしれません」(同前)
高市氏が抱えるもう一つのリスクは、発言の不安定さだ。
総裁選の所信表明演説では外国人が奈良公園の鹿を蹴ったり、殴ったりしているなどとして、「外国人問題」について熱弁。しかし、公園を所管する奈良公園室では、こうした事実関係は確認されておらず、不確かな内容として波紋が広がった。
高市氏は当初「自分なりに事実関係を確認した」と説明していたが、その後、日本テレビの取材に「(高市氏自身が)怒って鹿を蹴っている英語圏の方がいらっしゃったので注意をしたことがある」と突然主張しはじめたのだった。
「総裁選でも『全世代が総力結集しないと自民党は立て直せない』と熱弁したように、高市さんはハッキリとモノをいうタイプです。それは諸刃の剣で、下手すると足をすくわれかねない。ただ、そこが彼女の持ち味になっている面もあります」(前出・篠原氏)
総裁選選出を受けた際「ワークライフバランスという言葉を捨てる、働いて、働いて、働いていきます」とも発言した高市氏は、立ちはだかる壁を乗り越えて安定政権を築けるだろうか――。
取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班