「小泉さんに投票するつもりだった人の票が土壇場で動いた」
「高市氏を押し上げたのは、リベラル色が強いといわれた石破政権で岩盤保守層が自民党から離れてしまったことなどに対する、党員の危機感だと思います。
また、解党的出直しが求められるにもかかわらず、ライバルである小泉氏が“党内融和”という内向きのメッセージに終始してしまった。
父親の小泉純一郎元総理のような“自民党をぶっ壊す”というようなエッジの効いた主張を打ち出せていれば、展開は変わったかもしれない」
こう語るのは、高市氏と親交の深い政治解説者の篠原文也氏だ。確かに、小泉氏に比べて物価高対策や日本経済の立て直しを訴えた高市氏の方が、主張がはっきりしていた面は否めない。
こうした中で、第一回目の投票で高市氏が183票(議員票64、党員票119)でトップに躍り出た一方、小泉氏は164票(議員票80、党員票84)にとどまった。
高市氏を支援していた自民党の閣僚経験者が振り返る。
「第一回目の党員票で高市さんがかなりリードした。それによって、党員の意思と矛盾するような投票行動はできないという議員心理が動いたのでしょう。それまで小泉さんに投票するつもりだった人の票が土壇場で動いたとみています」
結局、高市氏は決選投票で185票(議員票149、都道府県連票36)を獲得し、小泉氏の156票(議員票145、都道府県連票11)を上回った。小泉氏に近い関係者も「結果を見ると、15票くらいは高市氏に剥がされている」と振り返る。
もう一つの勝因は、40人超が所属する麻生派の支援を得られたことだ。
「麻生太郎自民党最高顧問(85)は自派閥の議員に『党員投票でトップの人が総裁にふさわしい』と指示した。これがやはり大きかった」(前出・高市氏支援の閣僚経験者)