「あいつだけは許せない」
恥をかかされた馬場氏と遠藤氏にしてみれば、「木原だけは許せない」となるのも無理はない。後日、馬場氏が国会で木原氏を見かけて「おい、こら木原!」と怒鳴ったが、木原氏は携帯電話を耳に当てながらその場を立ち去ったという。
そんな木原氏が官房長官になれば、吉村代表や藤田共同代表が前のめりな小泉自民との連立政権交渉もすぐにとん挫する可能性もある。
だが、小泉氏は「まるで二人羽織を見せられているようだ」(陣営若手)というほど経済政策や公約面で「木原依存症」だ。陣営には斎藤健氏など有能な人材がいるが、小泉氏は木原氏を”切る”判断をできるだろうか。
官房長官は政権の要だ。第一次政権ではお友達の塩崎恭久氏を登用した安倍晋三氏。だが、小池百合子首相補佐官とケンカするなど首相官邸内が「学級崩壊」して政権はたった1年で崩壊した。
第二次安倍政権ではこわもての菅義偉氏を官房長官に起用し、政権の内外ににらみをきかせ7年半もの長期政権を築いた。その安倍氏は菅政権誕生の際に「菅政権には菅官房長官がいないのが弱点だね」と語っていた。安倍氏の予言通り、菅政権は1年で崩壊した。
小泉氏は文春に抗議も
政権運営は官房長官人事が左右するといっても過言ではない。一方で、小泉陣営に対しては「ステマ投稿」に加えて、文春オンラインが9月30日に「衝撃スクープ」第二弾を放った。
小泉氏の地元・神奈川県連で前回総裁選で高市氏を支持していたとみられる党員826人が本人の意思に関係なく勝手に離党させられていた、という報道だ。
神奈川9区(中山展宏前衆院議員、落選)の党員名簿のようだが、実際に筆者の知り合いの実家がこの選挙区で党員だったが「投票はがきが来ないと思っていたところ、知らないうちに離党させられていた」という。
おそらく、中山氏が支部長に選任されなかったので、中山氏経由で党員になった名簿が宙に浮いていたのだろうが、ステマ騒動の直後だけに、小泉氏に疑惑が向けられる。ましてや小泉氏は神奈川県連の会長だ。だが、小泉氏は抗議文を出して報道を否定している。
「そもそも私は、自民党神奈川県第9選挙区支部において起こった出来事については、今回初めて知ったところであり、全く関知しておりません。しかも、本件は、衆議院総選挙後の本年6月に自民党神奈川県第9選挙区支部において、支部長の衆院選落選に関連して起こったものです。これ自体参議院選挙以前の話であり、参院選の敗北等に伴う総裁選挙の開催に関連しようがない出来事です」