「木原官房長官」は絶対にNGというメッセージを送る維新 

そして「木原官房長官だけは絶対にNG」というメッセージを小泉陣営に送り続けているのが日本維新の会だ。維新と言えば、小泉氏と吉村洋文代表が大阪万博の会場内を3時間ほど歩き回り、お互いを「改革意欲がある」と褒め合った。 

小泉氏(右)と吉村洋文代表(左)(小泉氏Xより)
小泉氏(右)と吉村洋文代表(左)(小泉氏Xより)

藤田文武共同代表も「(小泉氏は)同世代で議員会館がご近所。とてもウマがあう」と周囲に語っている。さらに、小泉氏の後見人の菅元首相は松井一郎元代表をはじめ、馬場伸幸前代表、遠藤敬国会対策委員長ら維新に太いパイプを持つ。

ただ、そんな維新のなかでも、馬場氏や遠藤氏は「木原だけはあかん。あのうそつきが官房長官や政調会長をやるなら連立なんて組めるか」と強烈な木原アレルギーをみせる。

先月24日には菅氏と遠藤氏が国会周辺で会談し、遠藤氏は「木原だけはうちはだめですよ」と念をおしたと言われている。

維新の「木原だけは絶対にNG」は岸田政権時代にさかのぼる。2024年の通常国会で、岸田自民と維新は、維新が長年改革を訴えてきた調査研究広報滞在費(旧文通費)をめぐって交渉をした。

 とんでもないうそつき野郎だ! 

岸田政権は派閥の「裏金事件」を受けてつくった政治改革法案において維新の協力を得たかった。そのとき、政権側の交渉役は岸田首相の最側近の木原氏だった。

維新は歳費とは別に毎月100万円が国会議員に支給される旧文通費の改革を訴えていた。旧文通費は非課税だ。所得税もかからず100万円が毎月支給される。さらに使い道も公開しなくていい。

そのため、飲み食いに使っても何に使っても分からない不透明なお金のため、維新は橋下徹代表時代から改革を訴えてきた。

木原氏が仲介し、2024年の通常国会中に旧文通費の改革をするという約束で、維新は岸田政権の政治改革法案で賛成に回った。しかし、その後、約束はあっさり反故にされた。

それどころか、木原氏は「国会日程は国対が決める。自分の責任ではない」と謝るどころか開き直った。馬場氏や遠藤氏は「あいつは総理の名代といっていた、とんでもないうそつき野郎だ」と怒り心頭だった。

というのも、馬場氏も遠藤氏も党内で「自民にだまされた」と批判され、創設者の橋下氏もSNSなどで「永田町で飲み食い政治ばかりしているからだまされるんだ」と馬場氏を酷評した。その後の維新の支持率低下など凋落のきっかけともなった破談だった。