物価高対策など経済関係の話になると一気に下を向く回数が増える
実際に小泉氏の会見を見ると分かりやすい。農水大臣として対応に追われた米問題については、前を向いて身ぶり手ぶり交えて話すが、物価高対策など経済関係の話になると一気に下を向く回数が増える。
そして「岸田政権の子育て政策で児童手当を拡充した」など、岸田政権の功績をひたすら繰り返す。もう誰が書いた「カンペ」を読んでいるのか一目瞭然だ。
陣営内では、小泉政権誕生の暁には木原氏は「官房長官」になるだろう、という見方が大勢だ。陣営の中堅もこう言う。
「木原さんはもうすでに官房長官気取りですよ。周囲に官房長官になって小泉さんを支えるんですよね、と言われると『俺がやらないとこの政権はもたないよ』なんて答えていました」
一方で、霞が関は「木原官房長官」に戦々恐々だ。木原氏と言えば、岸田政権で所得減税を提案した。岸田首相が「増税メガネ」などと揶揄(やゆ)されたため、「降りかかってくる火の粉を払う」といって、財務省などと調整もせずに、唐突に岸田首相に所得減税の実施を決めさせた。
「税収の上振れ分」をキャッシュバックする、などとうたった所得減税は、岸田首相も「減税を訴えて支持率が上がることはあっても下がることはないだろう」と乗り気になったものの、1年限りの減税にむしろしらけムードが漂って支持率の低下を招きその後の岸田政権失速のきっかけとなった。
もはや自作自演のブラックジョーク
石破政権でも参院選直前に、自民党が不評を買っていったんは取り下げた2万円の現金給付を木原氏が無理やり復活させた。これは同氏が公明党の支持母体の創価学会から強い意向を受けたためと言われるが、結果として、野党に大敗する主因になった。
選挙後の自民党の参院選総括では「現金給付が国民に受け入れられなかった」としている。その総括をまとめたのも選挙対策委員長だった木原氏なので、もはや自作自演のブラックジョークだ。
「安易な減税や現金給付を打ち出して、二つの政権が潰れるきっかけを作った張本人。そんな疫病神にとりつかれて進次郎も大変だ」
木原氏とも仕事をしたことがあるという財務省OBはそう言って嘆く。霞が関の財務や経産など経済官僚たちも「どんなむちゃぶりをしてくるか」と戦々恐々だ。