「今後はちょっと普通の恋愛をしてみたい」 

実は、A子は立ちんぼ生活1年目のときにも、売春防止法違反で逮捕されている。だが、当時はやめる必要性を感じず、再び立ちんぼの世界に戻った。

「ほどなくして、好きだった担当と切れたこともあり、自分のためにお金をつかうようになりました。月に2回は日本各地に旅に出て、戻ったらまたやる生活。

この頃にはすでに、友達はみんな歌舞伎町の住人だったから、そのコミュニティから抜け出したいとも思っていませんでした」

大久保公園(撮影/集英社オンライン)
 
大久保公園(撮影/集英社オンライン)
 

A子はこともなげに話すが、立ちんぼ生活は、「客から殴られる」「スタンガンで気絶させられている間に金を抜かれる」といった怖い噂と常に隣り合わせだったという。そんな日常を2年ほど続けていくうちに、7月の逮捕に至った。

彼女は逮捕から2日で釈放され、「8月中旬に不起訴が確定した」と話していた。その後どのような生活を送っていたのだろうか。

「7月の逮捕で顔写真や実名を報道されたのはやはりダメージ食らったし、できればもうあの場所に立つ気はないです。

今は歌舞伎町で売春して生きる女の子のサポートをするNPOを手伝っていて、ホストに貢ぐお金が足りなくて泣きながら立ってる子に声をかけて話を聞いたりとかしてますね。でも、それだけだと1日3000円しかもらえない。だから、今まで(立ちんぼで)つながってきた太いパパさんとは会い続けています」

今後の展望についてはこう語っていた。

「本当はすぐにでもコンカフェとかでまともに働きたいけど、報道されてしまったので、今後はいったん身を潜めるつもり。あと、ちょっと普通の恋愛をしてみたいんですよね。

立っていたとき、たまに見かける同世代の普通のカップルをみて純粋に興味を持ち始めたんです。私は今まで、お金と身体を交換することでしか異性と繋がれなかったから。そんなことしなくても誰かと一緒にいられる人間っぽい気持ちを私でも体験できるのかな」

「新宿に来なければいいのではないか?」筆者はそうA子に伝えてみたが「友達もコミュニティも全て新宿にある、それは無理ですね」と寂しげな答えが返ってきた。

そしてインタビューから2週間、再びA子は逮捕された。

A子は今何を思うのか? 22日、留置先の警察署で面会を申し込んだが、面会は拒否されてしまった。21歳のA子が抱える闇は、想像以上に深い。

取材に応じるA子(撮影/集英社オンライン) 
 
取材に応じるA子(撮影/集英社オンライン) 
 
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取材・文/清談社・集英社オンライン編集部ニュース班