「覚悟が足りないのではないかなと僕は思っている」

――無能と書きこんだから警察沙汰になっている。「言い過ぎた」と思いませんか?

僕の言論の自由とか発信の自由が制限されなければいけないのか。正直、僕にはわかんない。

社員1人1人のパフォーマンスが会社を構成してるという以上、言うべきことは言う。あと一般社員と役員との線引きはあって、(CEOの)山田進太郎さんなどのメルカリの経営幹部に対して、僕はもっと強い言葉をつかってる自覚があります。

それに対してで言うと、今回はそのかたが一般社員であって、どれぐらい自発的な意思で社外向けのインタビュー記事に出たかどうかわからないですが、個人に対して受け取られるような言葉づかいをしてしまった点では、配慮がもう少しあった方が良かったとも感じています。

ただ、厳しいことを言うと、社外向けのインタビュー記事なだけにいろんな反論やクレームも飛んでくることは想定できると思うんです。実際にメルカリはいまでも転売ヤー問題などを抱えていることは事実です。

記事公開の結果、攻撃を受けた。それはいわゆる使用者、雇用者としての職場の安全な環境を提供する義務に反してるって、その社員のかたが雇用主であるメルカリに怒ることなら僕は理解できる。

でも、俺には関係ないじゃん。てか俺は通りすがりの株主です。株主として変な社員が変なこと言ってたら、「この人変ですね」とか「無能ですね」とかっていうことは意見、論評としては自由だと思うんです。

今回、メルカリさん以外にも2社もしくは2人から刑事事件で訴えられているわけですが、こんなことで訴えていたら、言論を萎縮させることにつながりかねないと思う。株主が自由に物事を訴えられなくなる可能性もある。

なかには上場企業の取締役をやっている方も訴えてきていて、そう言ったクレームなどが警察の力を借りてくることについて、上場企業の取締役を引き受けるということへの覚悟が足りないのではないかなと僕は思っている。

取材に応じる田端氏(撮影/集英社オンライン)
取材に応じる田端氏(撮影/集英社オンライン)
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――田端さんはその他にも「過労死は自己責任」といった発言や差別的な発言などで炎上し、批判された過去もありますよね。立場の強いかたが書き込んでファンも一緒になって攻撃をする、それで相手をより傷つけてしまったのではないでしょうか?

嫌になるんであればブロックまたはミュートすればいい、僕は基本この考え方です。

地上波や新聞、あなたたちのように、ヤフトピにも掲載される可能性があるような大手のネットニュースメディアは公共性があることから、発言できる言葉の制約があってしかるべきだというのは、僕はわかる。

でも僕のSNSやYouTubeは個人のものであって、見たくなければ見ないようにできる機能も備わっている。たとえがちょっと飛躍してるかもしんないけど、上の方で登山してて、ポロって1個足を踏み外してしまった。結果、小石がガラガラって落ちてしまいその影響が大きく、下で人が巻き込まれて死んだら僕が悪いのか。そんな無理難題な話として僕には聞こえます。

60分に及んだ田端氏の告白。田端氏は最後、「私は何ら恥じる点はありませんし、問題となったポストの投稿も削除してません。これからも萎縮することなく、投資家や株主の立場から経営に問題提起を続けていきます」と述べた。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班