「『反高市』を公言する議員も少なくありません」 

2度の国政選挙で少数与党に転落した自民にとっては、野党との連携が政権運営のために必要となってくる。高市氏のライバルと目される進次郎氏が総裁となった場合は、「日本維新の会」と近い菅義偉元首相を通じた維新との連携が期待されている。 

小泉進次郎氏と吉村洋文大阪府知事(小泉氏公式Xより)
小泉進次郎氏と吉村洋文大阪府知事(小泉氏公式Xより)

一方の高市氏は、中国への強硬姿勢を貫く外交政策や積極財政を唱える経済政策で、「日本人ファースト」を掲げて先の参院選で急伸した参政党や、「手取りを増やす」として減税政策を前面に押し出した国民民主党との親和性の高さが指摘されている。

ただ、こうした新興勢力との「合体」を警戒する声も党内には根強い。

高市早苗氏(本人公式Xより)
高市早苗氏(本人公式Xより)

「霞が関では、高市氏が首相になった場合のリスクが懸念されています。彼女が主張する“減税”や大規模な“財政出動”を警戒する財務省はもちろん、防衛省内でも危機感が広がっている。

A級戦犯の合祀問題がくすぶる靖国参拝を断行するなど、特に中国に対して強気な姿勢を貫く高市氏ですが、省内では『高市氏が首相になって中国を刺激すれば本当に“台湾有事”が起きかねない』との危機感があります。台湾での有事を見据えて、米軍とともに敷く防衛体制『南西シフト』の最前線に立たされている制服組(自衛隊幹部)の中にも『あの人だけはダメだ』との声が根強くある。

ましてや主張が似通っている参政党なんかと接近すれば、有事勃発のリスクはより高まる。党内でもそうした官僚たちの声は共有されており、『反高市』を公言する議員も少なくありません」(前出記者)

参政党・神谷代表(撮影/集英社オンライン)
参政党・神谷代表(撮影/集英社オンライン)
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高市氏は昨年の総裁選に破れて以降は、石破首相から提示された総務会長のポストを固辞し、無役を貫いていた。メディアに取り上げられるような表だった動きも見せず、非主流派として雌伏の時を過ごした。

「総裁選以降はメディア露出を控えていた一方で、地方行脚に精を出していた。各地の講演会はいつも盛況で、在野の支持者からは相変わらず人気のようでした」(同)

自民党は9月9日、次の総裁選について、議員票と都道府県連代表のみの「簡易型」ではなく、地方の党員からの投票も受け付ける「フルスペック型」で実施することを決めた。

地方人気の高い高市氏にとっては、有利な材料にもなり得るが、最大の課題は「党内での求心力をどこまで高められるか」にかかっていそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班